都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

身体所見

糖尿病性足部潰瘍について

糖尿病性足部潰瘍の臨床所見について。 Boyko EJ. How to use clinical signs and symptoms to estimate the probability of limb ischemia in patients with a diabeteic foot ulcer. Diabetes Metab Res Rev. 2019 Dec 16;e3241. 糖尿病性足部潰瘍患者の四…

変形性股関節症の臨床検査の精度

明けましておめでとうございます。 2020年、1発目の都城鍼灸ジャーナルです。 本日は、変形性股関節に有用な臨床検査は?です。 先日、当院に20年来の変形性股関節症で、病院からは人口関節を勧められているが、ふんぎりがつかないと言う方がいました。 正直…

施術部位になる?

本日は、最近思ったことなので、全く根拠のないことです。 循環器系疾患の徴候と灸治療について、考えています。 まずは、そう思ったきっかけの論文などを紹介。 Galassi FM, et al. Palaeopathology of the earlobe crease (Frank's sign): New insights fr…

馬尾腫瘍について

本日は、馬尾腫瘍の特徴は? 村岡智也、他.馬尾腫瘍の臨床像の検討.整形外科と災害外科.2000;49(3):708-711. 脊髄腫瘍のうち、馬尾部に腫瘍がある場合を、馬尾腫瘍と総称する。 症状としては、初期は腰痛・下肢痛などの神経根刺激症状が主体となり、腰…

髄膜炎の身体所見

本日は、髄膜炎の身体所見について。 以前も書いています。 「髄膜炎の診断特性」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/06/11/060000 髄膜炎は、発症原因となる起因菌で 細菌性髄膜炎 結核性髄膜炎 真菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎) に…

緊急搬送される人はどれか?

先日、SNSでこんな写真をみつけました。 3人のバイタルサインから、一番緊急搬送の可能性が高いのはどれか? といったもののようです。 緊急搬送とはいかなくても、患者さんが「今日は熱がある」などと言われ、病院受診を促すべきか、様子をみても大丈夫なの…

ドケルバン病の身体所見

本日は、たまーにみかけるドケルバン(de Quervain) 病について。 手関節痛をきたすいくつかの疾患の中で、狭窄性腱鞘炎に分類されます。 狭窄性腱鞘炎は、腱鞘の退行性病変や滑膜炎による腱鞘の口径が狭くなり、腱がスムーズに動けないために、痛みや腫れを…

仙腸関節の痛みについて

本日は、仙腸関節痛に関する二次文献から。 村上栄一.仙腸関節由来の腰痛.日本腰痛会誌.2007;13(1):40-47. 仙腸関節由来の痛みは、20世紀初頭にGoldthwaitらが提唱した。 Goldthwait JE, et al. A consideration of the pelvic articulations from an …

肩の身体所見の精度

本日は、肩の痛みについてです。 Evaluation of shoulder pain. J Fam Pract. 2002 Jul; 51(7): 605-11. 肩関節痛の頻度 回旋腱板の損傷: 48-72% 癒着性関節包炎: 16-22% 急性滑液包炎: 17% 石灰化性腱炎: 6% 筋筋膜性疼痛症候群: 5% 変形性関節症: 2.5% 胸…

胸壁症候群について

本日は胸壁症候群についての報告です。 以前も取り上げています。 「若年の胸が痛い」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/10/17/084011 「急性心膜炎の症状」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/09/13/080029 併せて読んでもらうと、…

SLR試験について

SLR(Straight-leg-raise)試験の診断特性についてです。 ラセーグ徴候と同義で扱われることが多いようですが、 これらは、下肢への放散痛を検出するために用いられる身体所見です。 われわれ鍼灸師や柔道整復師の先生がたにとっても有名な身体所見の1つで…

頭痛と顎関節症

本日は、頭痛を起こす顎関節症についてです。 二次性頭痛になりますが、鼻疾患、耳疾患、口腔疾患、顎関節疾患なども初診時には問診が必要です。 牧山康秀.顎関節症と関連する頭痛の診断と管理:顎関節症の臨床で必要な頭痛と脳疾患の知識.日顎誌.2018;30…

口が渇くという30代女性。

先日、当院に慢性腰痛で来院された患者さん。 30代、女性で、腰痛に関する事項を問診し、鍼灸施術を行っていたのですが、会話をしていると、「最近、口が渇く。」ということを言われました。 「腰痛+口腔乾燥?」 反省を込めて、疾患頻度を調べてみました。 …

胸水に対する身体所見の精度

本日は、胸水の身体所見です。 Wong CL, et al. Does this patient have a pleural effusion? JAMA. 2009 Jan 21; 301(3): 309-17. 胸水は、呼吸器症状を有する患者で現れることが多い。 超音波検査や胸部CTで発見できるが、すべての人に行わないため、身…

胃の関連痛?

本日は、関連痛です。 以前のブログ内で関連痛に関する記事 「心疾患に伴う肩痛」 https://blog.hatena.ne.jp/ararepyon/ararepyon.hatenablog.com/edit?entry=26006613403709996 左肩背部痛を訴える60代女性。 肩関節の自動・他動的な動作時痛なし。触診で…

腰痛の慢性化は予測できるか?

本日は、腰痛は3か月以上持続したら、慢性化(慢性腰痛)とみなされます。 慢性疼痛は、疼痛持続に何らかの身体的現象が関与し、通常は心理的因子も関与している。 その慢性化する心理的要因には、恐怖回避行動が挙げられます。 腰が痛くなりそうなことはしな…

脊椎分離症の病歴と身体所見

先日、当院に10代の頃に腰椎分離症の既往がある患者さんが来られました。 そこで脊椎分離症を復習がてら調べてみました。 脊椎分離症は、腰椎に多く発生し、頚椎はまれ。 頚椎分離症に頚髄症を併発した症例報告などがあります(整形外科と災害外科.2014;63(2…

咳の原因疾患と診断精度

本日は、咳の病歴や身体所見の精度についてです。 Otoshi T, et al. A cross-sectional servey of the clinical manifestations and underlying lllness of cougf. In Vivo.2019 Mar-Apr; 33(2): 543-549. 咳の最終診断に影響する要因を特定する目的。 対象…

赤ら顔の症例問題

本日は、昨日の赤ら顔から、症例問題です。 昨日の「赤ら顔になる疾患」を1通り読んでもらった方が、参考になるのではないかと思います。 鈴木清澄、他. 「一目瞭然!目で診る症例」問題編. 日内会誌.2018;107:951-3. 症例: 76歳、男性。 発熱・悪寒および…

赤ら顔になる疾患

本日は、顔が赤いことについてです。 山崎研志.赤ら顔と自然免疫.日本香粧品学会誌.2016;40(1):20-23. 赤ら顔には、正常な生理反応状態~病的なものまで含まれます。 生理的な赤ら顔(正常な赤ら顔) 日焼け 経年変化と長期日光暴露による顔面の毛細血管拡張 …

浮腫の身体所見の精度は?

本日は、浮腫に対する身体所見の精度についてです。 浮腫といっても、局所性浮腫と全身性浮腫に分かれ、局所性ではリンパ浮腫、静脈性、動脈性などありますが、今回の報告ではリンパ浮腫になります。 Jayaraj A, et al. The diagnostic unreliability of cla…

お腹の聴診で、腸閉塞が判断できるか?

本日は、腸閉塞の身体所見についての報告です。 急性腹症患者さんでは、腸閉塞はレッドフラッグになります。 そんなときに腹部の聴診を行いますが、その精度はどうなのか? Breum BM, et al. Accuracy of abdominal auscultation for bowel obstruction. Wor…

足裏の神経絞扼障害

本日は、足根管症候群についてです。 足底の痛みは、糖尿病の末梢神経障害などもありますが、足根管症候群による内側・外側の足底神経の絞扼性障害もあります。 解剖: Moroni S, et al. Clinical-anatomic mapping of the tarsal tunnel with regard to Bax…

小児の肺炎を疑うときの症状

本日は小児の肺炎です。 Shan SN,et al. Does this child have pneumonia? : The rational clinical examination systematic review. JAMA. 2017 Aug 1; 318(5): 462-471. 肺炎は小児の死亡原因の1つであるため、肺炎の症状と身体所見を検討。 1956年~2017…

末梢性と中枢性の顔面神経麻痺を鑑別するポイント

本日は、顔面神経麻痺についてです。 末梢性と中枢性がありますが、末梢性の代表的なのがベル麻痺、中枢性は脳卒中です。 その顔の麻痺の違いについて、 ベル麻痺のレビューから GildenDH. Clinical practice. Bell's Palsy. N Engl J Med. 2004 Sep 23; 351…

Hertoghe signについて

本日は、視診に関する1つの徴候で、Hertoghe sign(ヘルトーゲ・サイン)についてです。 以前ブログ内でも、名前だけは取り上げていましたが、今回はそれを紹介。 Parrino D, et al. Hertoghe sign: a hallmark of lepromatous leprosy. QJM. 2016 Jul; 109(7)…

腸腰筋とコルチゾールの関連性か?

本日は腸腰筋とコルチゾールについてです。 ですが、まだ分からないことなので、そうなのかな?程度で読んでもらえるといいかと思います。 清水芳樹、他.Cushing病とKlinefelter症候群の合併により亜急性に進行する両下肢近位筋筋力低下を呈した1例.臨床神…

若年の胸が痛い

先日、当院に肩こりの主訴で来られた20代女性。 話を聞いていると、「この1か月ほど、前胸部の剣状突起あたりが痛みのような違和感がずっとある。」と言われる(痛みの部位は、指でピンポイントで指せる)。 側臥位だと楽になるけど、仰臥位だと痛みが分かる…

腹痛では、アクネス・チャンを忘れない

本日は、腹痛に関する報告です。 Van Assen T, et al. Chronic abdominal wall pain misdaignosed as functional abdominal pain. J Am Board Fam Med. 2013;26:738-744. オランダで行われた過敏性腸症候群(IBS)を含む機能性腹痛と疑われた18歳以上の535…

肩甲骨間の肩こりには、ここを治療

本日は、肩甲背神経を使った肩こり治療の報告です。 鹿児島や宮崎県都城では、肩甲骨内側の痛みを「へき」とか「へっつぼ」と呼ぶようです。意味は知りませんが。 A.M.Trescot(ed.). Peripheral Nerve Entrapments: Clinical Diagnosis and Management. DOI:…