馬尾腫瘍について
本日は、馬尾腫瘍の特徴は?
村岡智也、他.馬尾腫瘍の臨床像の検討.整形外科と災害外科.2000;49(3):708-711.
脊髄腫瘍のうち、馬尾部に腫瘍がある場合を、馬尾腫瘍と総称する。
症状としては、初期は腰痛・下肢痛などの神経根刺激症状が主体となり、腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別が難しい。
また症状が進行すると知覚・運動障害、膀胱直腸障害が出現してくる。
馬尾腫瘍9例(男性4例、女性5例、23-70歳)の臨床像をまとめた。
初発症状は腰下肢部の疼痛が多く、症例7は会陰部痛、症例9は左側腹部痛もあった。
9例中7例に体動痛・夜間痛があった。
体位の軽快姿勢と悪化姿勢があるのが5例。楽になる姿勢はばらばら。
下肢腱反射低下6例、感覚障害・膀胱直腸障害4例
SLR試験陽性・下肢筋力低下3例
症例1の画像
馬尾症候群と呼ばれる、腰痛・両側坐骨神経痛・両下肢知覚低下・会陰部知覚障害・両下肢筋力低下・深部腱反射低下・膀胱直腸障害などの典型例がそろうことは稀。
Hogen Eschらは、馬尾腫瘍の疼痛の特徴は夜間痛、臥位での疼痛、保存的加療に抵抗性であるとしている(Clin Neurol Neurosurg.1988;90:343-348.)。
時岡らは、上記の項目に加えて、複数の下肢腱反射の低下、両側SLR陽性も疑う所見
としている。
またこの報告の様に特定の姿勢で疼痛が軽快するが、それ以外は姿勢保持が困難という症例が9例中5例あったことから、参考となる。
主訴が腰痛や下肢痛の場合、夜間痛の有無・これまでの治療成績、特定の姿勢で楽になり他は保持が困難かを確認し、
SLRは必ず両側行い、深部腱反射が膝蓋腱とアキレス腱を確認
することが大切となると思います。