巻き爪について
本日は、巻き爪について。
1月7日は、「爪切りの日」なんだそうです。
一年で、最初に爪を切る日なんだそうです。
爪の異常がある患者さんは多いものの、それに対する考え方やアプローチについて書かれたものは意外と少ない現状にあります。
本日は、比較的最近の総説などを扱いました。
青木文彦.陥入爪・巻き爪の違いと治療ーこの似て非なるものー.日本フットケア学会誌.2018;16(4):200-207.
陥入爪に関する報告は多いが、巻き爪は1980年代までは報告例は非常に少なかった。
陥入爪と巻き爪の違いが医療現場でも混同されている現状。
陥入爪
爪甲側縁先端または側爪縁が爪溝、爪郭に刺入することで疼痛を伴う炎症・感染・肉芽形成を生じることがある。
巻き爪
爪甲横方向の過度な彎曲を呈し、物理的な痛みを生じるもの(報告によっては、痛みがないものも含まれる)。この過度な彎曲は、個人差があり、定義がはっきりとしていない。
巻き爪の形状は、3パターン
通常は、痛みを伴うが、発赤・炎症・腫脹などは伴わず陥入爪との違いとなる。
この痛みは、歩行時・靴下やストッキング、布団をかけることなどで生じることが多い。また、入浴時の疼痛増強を訴えることもある。
治療
爪矯正が多い。
しかし現在では、様々な矯正法が開発されており、なにが最も最適かは難しい。
爪矯正は再発率も高いとのこと。
またこの著者の考えでは、まずは痛みからの解放なので、即効性もある爪矯正が第一選択。また、痛みのない爪に矯正はしないのが原則としているとのこと(意見が分かれるところ)。
陥入爪と巻き爪の混在性もある。
この合併例では、爪矯正は少し注意が必要な場合があるとのこと。
矯正により爪の平坦化するさいに、側爪郭の盛り上がりに爪が陥入し、痛みが増強する場合がある。
まずは、炎症と腫脹の改善をしてから、爪矯正をした方がいい。
創傷.2012;3(4):174-180.より掲載
男女比などの集計結果
巻き爪は、女性に多く、どの年代でもある。
合併例も女性に多いので、女性の巻き爪を診たら、陥入爪を探した方がいい。
こうした爪の異常が下肢機能に影響を与えるのか?を検討した報告。
今井亜希子.足の皮膚・爪所見からみる下肢機能.日本転倒予防学会誌.2018;5(1):17-21.
足爪異常の主訴患者や足の検診イベント参加者などの成人263名(21-85歳、平均49.7歳)が対象。
爪の異常は、
Heifetzの分類(陥入爪の分類)
第1期~軽度の発赤と炎症が認められる
第2期~発赤が増強し滲出を認める
第3期~肉芽が形成される
に分け、
爪の肥厚は、爪甲の最大厚2mm以上として、爪真菌症の有無は問わない。
疼痛はフェイススケールで0-5の範囲。
下肢機能検査
開眼片足立ち検査(最大60秒)(OFS)
ファンクショナル・リーチテスト(FR)
趾間圧力計(TGF)
その結果、
陥入爪・肥厚爪・疼痛のある群では、認められない群に比べて、有意な下肢機能の低下が認められた。
フットケアの効果を検証する目的で、
母趾の爪の異常があった55名(平均62.9歳)、男性11名、女性44名を対象に、足浴後に角質ケアや爪の手入れなどを行った結果、
疼痛はケア後は有意な改善があったが、4週後には改善は認められなかった。
下肢機能検査も、ケア前とケア後では有意な改善があったが、ケア後と4週後では有意差はなかった。
爪の異常は日常的にみかけますが、痛みを伴わない場合も多く、その場合は特に処置をすることはないと思います。予防的に勧めることもありますが、痛みなどの自覚症状がないとあまり乗り気になってもらえません。
爪の異常が下肢機能低下と関連することから、肩こりや姿勢異常にもつながることが考えられます。
爪まで診る。むしろ、爪から診る。
そのぐらいの気持ちでいたいと思います。