好きから始まる鎮痛効果
痛いのは誰しも嫌いなもので、どうにか痛みをなくしたい。そんな時にどんな基準で方法を選ぶか?
色々な考え方があるでしょうが、私はその中に「好み(好き)」を入れて欲しいと思っています。
17件のランダム化比較試験のシステマティックレビューで、
好み施術を受けた人と、なんでもいいと無関心な人では、有意に鎮痛効果に差があったとされます(BMJ. 2008 Oct 31:337:a1864)。しかし、この報告では、好みの施術と好みじゃない施術では、鎮痛効果に差はありませんでした。
その後、
好みvs非好みの施術で、有意に鎮痛効果に差がある(効果サイズ=0.18(0.10-0.26))とされましたが、効果サイズは小さい効果です(Patient. 2019 Dec;12(6):593-609)。
ですが、好みの施術や治療を受けるメリットは鎮痛効果だけではなく、治療途中の脱落数が減少することも報告されています(J Clin Psychol. 2011 Feb;67(2):155-65)。
人は誰でも苦痛なものから目を背けたくなります。
それに立ち向かい続けるために、好きは強力な杖として立つのを支えてくれます。
そして、施術を受ける患者さんの好みがあるように、施術側にも好みの施術方法があります。
マッサージをイメージすると分かりやすいと思いますが、僕は軽めのマッサージが好きで、指圧よりは揉まれる方が好みです。でも人によっては強めの方が好みの方もいます。
セラピストも同じで、強めの方法で施術するのが好きな人、ストレッチ系が好きな人などいます。
患者さんの好みとセラピストの好みがマッチした時、患者さんの期待する効果を満たす確率が68.3倍増加するとされています(J Pain Res. 2017 Apr 26:10:965-972)。
こうした好みなどは、一種のプラセボ効果とされます。
でも、臨床意思決定のプロセスにおいても、好みは患者さんにとって重要なファクターになると考えます。
鍼灸におけるランダム化比較試験の報告ですが、
頭頸部癌患者さんに、放射線治療における口腔乾燥症の発生率などを、標準医療と中国技法の鍼、偽鍼(影響しない経穴、もしくは使用経穴の側の非経穴に浅い鍼もしくは接触のみ)の3群で比較。これを中国とアメリカで行ったところ、国で効果に差が出ました。
この差は、期待値との影響もあると思われます。

真の鍼の効果があるのか?を調べることは、もちろん大事なのですが、その上で、こうした好きの効果が上乗せされたら、好きの効果は小さい効果から大きな効果に変わるかもしれません。
40歳以上の99%に回旋腱板損傷
Incidental Rotator Cuff Abnormalities on Magnetic Resonance Imaging
フィンランドの41-76歳の602名を対象に、肩のMRI評価を実施。
その結果、
異常なし7名(1.3%)
腱障害152名(25.3%)
回旋腱板の部分断裂373名(62.4%)
回旋腱板の完全断裂70名(11.1%)
と98.7%に異常所見がみつかった。

年代別にみると、
40代ですでに正常者は20%以下で65歳以上では全例異常所見ありという、驚きの結果。

しかし、肩のMRI評価と痛みは必ずしも一致するわけでない。
「直近1週間に痛み、または肩の機能障害があるか」を基準として、対象者602人の両肩を合わせた1204肩を「症状がある肩」と「症状がない肩」に分けて比較。
すると、症状がある98%、症状がない96%と有意差なしであり、完全断裂では、症状ありに異常所見が多いが(14.6%vs6.5%)、年齢、性別、教育、他の画像検査やローテーターカフテストなどで調整すると、両者の差は0.8と小さくなった。

これより、
外傷性肩痛を除き、肩の痛みを訴えても、MRIで異常所見が見つかる確率は高いので診断は難しく、身体所見などの重要性が高まる。
また断裂というのは、患者さんに強い印象を及ぼすので、加齢生変化と捉え、別の表現が望ましいとしています。
私も43歳。肩の痛みはないけど、異常所見があるのか?ちょっと調べてみたくもある。
非特異的腰痛に効果のある物理療法のランキング
非特異的腰痛に対して、有効な方法とその序列について。
Analgesic effects of non- surgical and non-interventional treatments for low back pain: a systematic review and meta- analysis of placebo-controlled randomised trials
方法
対象:非特異的腰痛の成人患者。
・ 研究デザイン: プラセボまたはシャム治療と比較した、非外科的・非侵襲的治療を評価したランダム化比較試験のシステマティックレビューとメタ解析
情報源: MEDLINE、CINAHL、EMBASE、PsychInfo、Cochrane Central Register of Controlled Trialsから2023年4月14日まで検索。
・急性腰痛と慢性腰痛に分類し、それぞれ比較。
・ 評価: 痛みの強度 (0-100スケール)で効果を評価。
・ 偏りのリスク: PEDroスケール (0-10点)で評価。
結果
・ 総試験数:301件の試験、56種類の治療法または治療併用を比較。このうち有効性を示したのは、10分の1程度。
有効性:中程度の質が認められた方法は少ないが、
急性腰痛: NSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬)のみ有効。
慢性腰痛:運動、脊椎マニピュレーション、テーピング、抗うつ薬、TRPV1アゴニストが 有効とされるも、これらの治療効果は小さく、わずかに疼痛を軽減する程度とされる。
・ 効果がなかった治療:
急性腰痛:運動、グルココルチコイド注射、パラセタモール。
慢性腰痛:抗生物質、麻酔薬。
これらの治療は適切ではない可能性が高い。
結論:非外科的および非侵襲的腰痛治療の10分の1のみが有効性を示し、プラセボをわずかに 上回る鎮痛効果しか得られなかった。多くの治療法については、ランダム化された参加者数 の不足や研究の質の低さから、有効性が不確かである。
質が低い、もしくは非常に低いを含めて、物理療法の効果が大きい順番で並べると、

となり、マッサージや指圧といった徒手療法が最上位となる。
また中等度の質がある運動や脊椎マニュピレーション、テーピングは下位にある。
ここで、今回の結果と同グループが2009年に発表した同様の調査を見比べてみる。
Analgesic effects of treatments for non-specific low back pain: a meta-analysis of placebo-controlled randomized trials
Rheumatology (Oxford). 2009 May;48(5):520-7

本文を翻訳サイトで和訳して掲載
2009年報告は、急性と慢性腰痛が分類されずに評価されているので注意が必要だが、
鍼治療は、2009年時では慢性腰痛の報告のみ。2025年時と比べると、鎮痛効果の平均値は下がり、誤差も小さくなっている。エビデンスレベルは低レベルのままだが、少しずつ蓄積されたエビデンスにより、真の鍼治療の効果が数値化されてると感じます。
今後、さらにエビデンスが蓄積することで、より真の効果が分かってくることで、2025年時と比べて、鎮痛効果は下がってくることが予想されます。
おそらく、運動あたりと同じくらいの効果量になるのではないでしょうか?
2025年にはコクランレビューからも腰痛に対する物理療法の報告があります。
Non-pharmacological and non-surgical treatments for low back pain in adults: an overview of Cochrane reviews
Cochrane Database Syst Rev. 2025 Mar 27;3(3):CD014691
腰痛治療において、薬物療法や手術以外の治療法は、痛みの軽減や機能改善に役立つ可能性があります。特に鍼治療や運動療法、集学的治療は、慢性腰痛に対して効果が期待できるとされています。
非薬物・非外科的治療法の種類
- 鍼治療、ドライニードリング
- 教育、アドバイス
- 運動プログラム(ストレッチ、筋力トレーニング、有酸素運動、ヨガ、太極拳、水中運動など)
- 温熱療法、冷却療法
- 徒手療法
- 心理療法
- 補助具
効果が期待できる治療法
成人慢性腰痛に対する非薬物・非外科的治療法の効果は、
- 鍼治療:痛みと機能のわずかな改善が見られる可能性
- シャム鍼治療と比較して、機能のわずかな改善が見られる可能性
- 運動療法:痛みと機能のわずかな改善が見られる可能性
- 集学的治療:痛みと機能のわずかな改善が見られる可能性
- 心理療法:痛みの軽減に役立つ可能性
安全性について
非薬物・非外科的治療法全体の安全性については、まだ十分に解明されていません。
- 鍼治療:シャム鍼治療との安全性に差がない
- 温熱パック:皮膚が赤くなる可能性が報告されている
- マッサージ:通常のケアとの安全性に差がない
効果が不確かな治療法
一部の治療法については、効果が明確でないとされています。
- 脊椎マニピュレーション:急性/亜急性腰痛の機能改善には効果がない可能性
- 牽引療法:慢性腰痛の痛み軽減には効果がない可能性
現時点では、ほとんどの方法が鎮痛や機能改善に対するエビデンスが不足しているものの、わずかに、もしくは中等度の改善が期待できる方法を組み合わせて行うことが現実的と考えます。
非特異的腰痛と特定の動作の関係
JAMA Netw Open. 2025 Dec 1;8(12):e2547915.
Transient and Long-Term Risks of Common Physical Activities in People With Low Back Pain.

chatGPTで作成
非特異的腰痛患者(退役軍人、平均年齢47歳、男性75%)416名を対象に、日常動作である押す・引く、曲げる、ねじる、重いものを持ち上げる、しゃがむなどの10種類の動作が、腰痛にどんな影響を及ぼすかを、短期的・長期的(1年後)で調査。
その結果、
押す・引く、曲げる、ねじる、重いものを持ち上げる、しゃがむは短期的に腰痛悪化と関連するが、長期的な腰痛症がとは関連しない。
また、立つ・歩く・登るといった動作は、腰痛とは関連せず、座るは、腰痛リスクを下げることが示されています。

翻訳サイトで訳したものを掲載
これらの結果は、自分ごとで考えても納得しやすいように思えます。
中腰で作業(庭の草取りなど)を行うと、だんだん腰がキツくなってきます。でも、しばらく休憩したりすれば、痛みはなくなり、持続することはほぼありません。
なので論文の動作に対するリスク比も、有意差はありますが、それほど高くはないので、そこまで神経質に動作を制限する必要はないのかな?と捉えてます。
この論文では、特定の日常動作と腰痛の関連ですが、職業病と言われるように仕事動作では関連があるのでしょうか?
システマティックレビューがいくつかあり、
ブルーカラー労働(建築現場や土木工事者など)の体幹屈曲動作と腰痛について。
Work. 2025 Dec 8:10519815251397391.
The association between trunk flexion and low back pain in blue-collar workers: A systematic review.
最終的に4件(n=2013)が厳選され、体幹屈曲の持続時間や角度などと、腰痛発生頻度や腰痛の強度などとの関連は認められなかったとのこと。ただし採用された論文数が少ないためなどで更なる調査は必要とはされています。

chatGPTで作成
トラック運転手と腰痛の関連について。
J Orthop Surg Res. 2024 Sep 9;19(1):551.
Prevalence of and risk factors for low back pain among professional drivers: a systematic review and meta-analysis.
19件の論文(n=7723)から、職業上の暴露と腰痛発生率、要因を調査。
その結果、
過去7日で発生率39%、過去12ヶ月で53%であり、サブグループ解析では、2005~2015年には有病率 が48%(95%CI 0.33~0.64)、2016~2023年には有病率が56%(95%CI 0.42~0.70)であった。
発生要因として、
年齢41歳以上(オッズ比[OR] = 2.10、95%信頼 区間1.36-3.24、P = 0.0008)、
アルコール消費(OR = 1.75、95%信頼区間1.31-2.34、P = 0.0001)、
睡眠 時間6時間未満(OR = 1.60、95%信頼区間1.13-2.24、P = 0.007)、
座り心地の悪さ(OR = 1.71、95%信頼区間1.23-2.36、P = 0.001)、
不適切な運転姿勢(OR = 2.37、95%信頼区間 1.91-2.94、P < 0.00001)、
マニュアル操作(OR = 2.23、95%信頼区間1.72-2.88; P < 0.00001)
中等度のリスクファクターとして、
運動不足(OR = 1.78; 95% CI 1.37-2.31; P < 0.0001)、
1日10時間以上の労働(OR = 2.49; 95% CI 1.89-3.28; P < 0.00001)、
5年以上の 運転経験(OR = 2.12; 95% CI 1.66-2.69; P < 0.00001)、
背中のサポート不足(OR = 1.81; 95% CI 1.25-2.62; P = 0.002)、
仕事関連のプレッシャーが高い(OR = 2.04; 95% CI 1.59-2.61; P < 0.00001)、
仕事 への不満(OR = 1.57; 95% CI1.23-2.01; P = 0.0003 )
が関連したが、BMIや喫煙は関連しなかった。

chatGPTで作成
ブルーカラー労働者や運転手では、特定の動作が腰痛の発生もしくは増悪と関連することは少ない。それよりも職業病は複数の要因が絡んでいるため、それぞれの要因から解決する手段を見つけることも大事となる。
鍼灸院でできる自律神経と血流評価
令和8年2月15日に、福岡県久留米市にて、全日本鍼灸学会九州支部研修会があり、講師として登壇してきました。

時間配分を間違えて、後半はバタバタしてしまい申し訳なく思います。
そこで話した内容の1つなのですが、
鍼灸の治効理論は、だいたい血流変化と自律神経です。多くの論文でも心拍変動を指標に自律神経評価を行ったり、様々な血流評価を行い、鍼灸の効果を判定しています。
多くの鍼灸師は、こうした報告を基に、患者さんへの説明や施術プランを考えています。ですが、臨床現場において、自律神経や血流を評価することは難しいのが現状です。
そこで私は、評価において正確さは大事なのですが、今の現状から一歩前へ進むため、評価をするのが普通になるため、簡便さを重視しました。
その結果、非接触型赤外線体温計とパルスオキシメーターを採用しました。
非接触型赤外線体温計は、主に額の温度を計測する目的で使用されますが、その原理はサーモグラフィーと性質は同じです。サーモグラフィーは昔から自律神経評価として有用性が検討されてましたが、心拍変動に取って代わる方法にはならず、医療分野で保険点数がつかないなどの理由から普及はしませんでした。鍼灸業界でも機械が高価だった(今はそこまでですが)などで普及はしていません。そこに非接触型赤外線体温計の出番です。コロナ禍以降、世界中で計測に抵抗なく受け入れらており、サーモグラフィーの代用となります。
方法は、顔面部の鼻先と眼窩周辺の皮膚温を計測します。
交感神経優位だと、鼻先温度は低下し、眼窩周辺温度は上昇する。また副交感神経優位だと、鼻先温度は上昇することが報告されており(Sci Rep. 2016 Oct 13:6:35174.)、心拍変動との相関を検討すると、鼻と眼窩周辺の温度差が最も副交感神経成分と強く相関することが報告されています(Int J Psychophysiol. 2026 Jan 19:113332.)

Sensors (Basel). 2023 Jul 14;23(14):6403.より引用
施術前後で一定の安静時間は必要ですが、計測時間だけなら数秒で終わります。これにより自律神経の状態が推測できるようになります。
次に血流評価ですが、パルスオキシメーターを使います。
パルスオキシメーターは酸素飽和度を測るためという思い込みから、気付かなかったのですが、機器によっては、PI値(perfusion index;灌流指数)も計測されます。これは指先の拍動成分÷非拍動成分×100で自動算出され、数値が高いほど血流が多いことを示します。実は臨床活用するにはまだ考えないといけないことはあるのですが、とりあえず血流状態は知ることができます。

私の指で行なっているところ:PI値2.42
非接触型赤外線体温計とパルスオキシメーターの2つを行うことで、例えばPI値の上昇と鼻と眼窩周辺温度差から副交感神経亢進による血流増加反応が推測できるようになります。
現時点では、私が考える最も簡便な評価法になります。細かな点で考えなければいけない点がありますが、使い勝手は悪くないと思います。
これを読んで、もっとこうした方がいいなどのアドバイスなどありましたら、ご教授くだされば有り難いです。
痛む部位とは反対に鍼灸を行うとどうなるか?
鍼は痛む側と反対側のどちらが効くのか?
鍼の方法の1つに「巨刺(こし)法」というものがあります。
これは、右(左)が痛ければ左(右)に鍼をする、というものです。
2016年に出た論文ですが、
慢性の肩痛緩和のための対側手技鍼療法のランダム化比較試験
Acupunct Med. 2016 Jun; 34(3): 164-70.
では、
半年以上の慢性肩痛患者80名を、ランダムに痛むのと反対側の部位に鍼をするグループ38名と何もしない待機グループ42名に振り分け、その結果、痛み評価の1つであるVASが待機グループに比べて有意な低下(改善)を示し、肩の機能改善も認められたと報告。
このように、痛む部位から離れた所の刺激が鎮痛効果をもたらすことが示唆されましたが、その一方で、わざわざ離れた所じゃなくて、同じ側にすれば、鎮痛効果はもっと向上するのでは?という疑問も出てきます。
おそらく2016年の論文を書いたのと同じ研究グループだと思いますが、
2018年に
慢性肩痛患者に対する対側または同則の鍼治療の異なる機序:パイロットスタディ
J Pain Res. 2018 Mar 7; 11: 505-514.
にて、同側vs対側で鍼の効果を比較しています。
慢性肩痛患者24名を、同側(Ipsy)ないし対側(contra)の条口穴(ST38)に鍼を行い、痛みにや肩機能の評価を行いつつ、脳機能の評価も行った。

その結果、
刺激前に比べて、同側も対側も刺激後は鎮痛と機能改善が認められ、
同側と対側で比べると、対側の方が機能改善効果が大きかった。
さらに脳機能では、
同側鍼は脳幹(視床-皮質経路)が、対側鍼は前帯状皮質(ACC)が、強く関わっていた。
とされ、
同じツボでも刺激部位で、少し異なる効果とメカニズムが作用している可能性が示されています。

しかし、この2018年の論文はパイロットスタディといって、予行練習のようなもので、この本番の論文も2020年にNeurol Plast. 2020 Apr 25; 2020: 5701042. より出ています。
これでも2018年とほとんど同様の結果が得られています。
これらの論文から、
痛みと同側の鍼は、主に脳幹部へ伝わり痛みを抑えるように働く一方で、
対側の鍼は前帯状皮質に伝わり、鎮痛よりも機能を改善するように作用する。
ことが期待できるものでした。

これらの論文は、慢性の方が対象ので、肩に対して足の刺激を行っています。
急性で、同部位の左右差でも似た結果になるのか?
についてこんな論文が参考になります。
若い未訓練男性における遠心性運動によって誘発される遅発性筋痛に対する電気鍼療法の効果:ランダム化比較試験
Am J Phys Med Rehabil. 2025 Aug 1; 104(8): 693-701.
普段運動しない男性に筋肉痛を起こさせ、同側と対側の電気鍼療法を行うと痛みの程度などはどうなるか?
19名を同側鍼(IEA)グループ9名と対側鍼(CEA)グループ10名に無作為に振り分け、上腕二頭筋に筋肉痛を起こさせた。
筋肉痛を起こす前と起こしてから鍼を実施した。
評価は、痛みVASや関節角度、特異的無細胞DNAなど。

その結果、筋肉痛は、同側鍼の方が程度が軽くなったが、関節角度は差がなかった。また酸化ストレスや特異的無細胞DNAは、同側鍼が有意な低下を認めた。


この報告だけで決められませんが、
急性痛のような痛みでは、対側刺激よりも同側の鍼の方が有効なのかもしれません。
しかし慢性痛では、対側の鍼も用いることでより効果が上がるのかもしれません。
最後に、これまで取り上げた論文は鍼によるものでしたが、
マウスを使った灸刺激による報告も載せておきます。
同側及び対側の灸は、炎症性の痛みに対して同様の鎮痛効果をもたらす
Evid-Based Complement Alternat Med. 2019 Feb 5; 2019: 1807287.
ホルマリンを用いた炎症性疼痛マウスの足三里に同側ないし対側の灸(37.5°の温灸)を行い、鎮痛効果を検討。
その結果、どちらも痛み行動の減少が認められた。
しかし、鎮痛様式を観察すると、
対側の灸は、局所鎮痛効果というよりも中枢性鎮痛効果の方が強い可能性が考察されています。
このように、鍼でも灸でも対側の刺激は鎮痛効果を起こすことが期待でき、
対側鍼では急性痛には効果が薄くとも、炎症性の急性痛ならば、灸にて対応することができるのかもしれません。
まだ課題はありますが、調べてみて面白かったです。