2022-03-14 下痢型の過敏性腸症候群へ長期間の灸効果 Therap Adv Gastroenterol . 2022 Feb 23;15:17562848221075131. doi: 10.1177/17562848221075131. eCollection 2022. Long-term effect of moxibustion on irritable bowel syndrome with diarrhea: a randomized clinical trial. 下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)に対する長期的な灸の無作為化比較試験 Chunhui Bao 1, Luyi Wu 2, Yin Shi 3, Zheng Shi 1, Xiaoming Jin 4, Jiacheng Shen 1, Jing Li 1, Zhihai Hu 5, Jianhua Chen 6, Xiaoqing Zeng 7, Wei Zhang 8, Zhe Ma 1, Zhijun Weng 2, Jinmei Li 1, Huirong Liu 9, Huangan Wu 9 過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛・腹部膨満・排便異常(下痢型・便秘型・交代型)といった症状が出現。 このうち下痢型のIBS有病率は、世界で10-25%とされる。 研究デザイン;多施設RCT、ダブルブラインド 介入;灸;ST25・ST36:52名 比較;偽灸:52名 施術はそれぞれ1回30分、1日おきに週3回、6週間実施。 評価;IBS症状の軽減率~施術中とフォロー期間に毎週 結果; 対象者の背景 灸群と偽群のベースライン人口統計と臨床的特徴。a 灸 シャム p 性別、n(%) 男 23(46.9) 28(53.9) 0.327 女性 29(55.8) 24(46.1) 年齢、y、平均(SD) 47.6±11.9 45.2±14.7 0.357 高さ、cm、平均(SD) 166.2±8.0 167.3±9.2 0.534 体重、kg、平均(SD) 60.7±12.9 63.0±12.1 0.357 教育、年、平均(SD) 14.2±2.6 15.6±15.4 0.525 b IBSの期間、年、平均(SD) 6.8±7.9 8.1±7.1 0.353 Ptの期待値、n(%)c わずか 7(13.5) 5(9.6) 0.673 d 適度 12(23.1) 13(25.0) 過激 33(63.4) 34(65.4) IBS-SSS、平均(SD) 総得点 253.6±72.2 252.9±77.5 0.958 腹痛、重症度 37.3±30.4 37.7±32.4 0.950 腹痛の持続時間、日数 35.4±28.5 38.3±32.3 0.630 腹部膨満の重症度 37.3±30.4 37.7±32.4 0.950 排便習慣への満足 69.6±22.8 68.1±26.6 0.752 一般生活における干渉 67.3±23.4 65.2±23.0 0.643 IBS-SSS、n(%) 軽度 6(11.5) 10(19.2) 0.352d 適度 33(63.5) 31(59.6) 重度 13(25) 11(21.2) BSS、平均(SD) 総得点 5.92±0.86 6.10±0.80 0.290 下痢の頻度/週 3.25±1.20 3.61±1.36 0.159 腸の緊急性スコア 88.5±9.4 88.7±8.9 0.915 IBS-QOL、平均(SD) 総得点 58.5±18.9 60.1±17.9 0.659 不快気分 53.6±23.1 55.3±22.8 0.670 活動への干渉 51.0±22.4 50.6±24.1 0.940 身体イメージ 73.1±20.0 76.2±18.7 0.412 健康上の心配 56.1±21.7 55.9±22.5 0.971 食物回避 40.9±30.0 46.2±27.3 0.350 社会的反応 66.6±20.6 68.6±24.7 0.648 性行為 71.6±28.9 73.6±28.7 0.734 関係 70.0±23.8 71.0±22.6 0.833 HADS、平均(SD) 不安 7.6±4.1 8.4±4.3 0.346 うつ 6.1±4.3 6.1±4.4 0.964 IBS症状の軽減率 偽灸に比べて、灸はIBS症状を軽減させ、その効果は少なくとも24週は持続する。 灸グループは、およそ77%が軽減反応を示した。 1回の施術の平均皮膚温度は、灸43℃、偽灸37℃で、 TRPV1の刺激が関与している可能性を考察。 この報告では、棒灸を使用。 30分自分でするのは大変なので、工夫は必要となりますが、 セルフケアとしても使える。 日本ではIBS患者は10-20%の有病率とされています。 そのうち下痢型はどのくらいいるか?は分かりませんが、有効なセルフケアないし治療法になる可能性が期待できます。