鍼治療と心疾患
鍼灸は、心疾患にも適応が一部あることは、鍼灸師なら知っていますが、どんな心疾患に?どのぐらいの有効率?などなど、まだ分からないことは多い分野かと思います。
本日は、慢性安定狭心症に対する補助療法としての鍼治療の効果を調査した報告です。
Chao L, et al. Acupuncture as adjunctive therapy for chronic stable angina: A randomized clinical trial. JAMA Interm Med. 2019 Jul 29.
目的:慢性安定狭心症に対して鍼治療が補助療法としてどの程度有用なのかは不明なので調べる
研究デザイン:ダブルブラインドによるRCT、ITT解析
対象:398人の参加者(女性253人、男性145人、平均年齢62.6±9.7歳)
4つのグループに無作為化
1)有用とされる経穴(PC6・HT5)への鍼治療を行うDAM群
2)特に有用と思われない経穴(LU9・LU6)への鍼治療を行うNAM群
3)偽鍼(刺入はする)SA群
4)研究期間中は、何もしない(待機リスト)WL群
4群ともにガイドラインで載っている狭心症の治療薬は行う(アスピリンやスタチンなど)
DAM群とNAM群の鍼刺激は、「響き」をだし、その後通電刺激
SA群はシャム点に刺入後、通電なし
治療回数はいずれも、週3回・4週間=12セッション実施
評価
狭心症発作の回数
VAS
自己評価不安スケール
シアトル狭心症アンケート
安全性
その結果、
患者背景に差はなし
VASもDAM群が有意な低下
自己評価不安スケールはSA群とWL群と比べDAM群に有意な低下
安全性も重大な過誤は発生していない
という感じでした。
表が見づらいので、解読するのに時間がかかりました。
今回の結果をみると、鍼治療の効果は、発作回数は早期から効果が得られるが、それ以外は後からくるので、患者さんにはそうした説明をしておくと効くのかな?といった不安が減るかもしれません。
あくまでも、今回の報告は慢性の安定している狭心症に対して、投薬治療と併用した効果です。
鍼治療単独で狭心症が改善するという根拠にはなりませんのでご注意ください。