痛み止めでおしっこが出なくなる?
本日は、薬剤の副作用に関する報告です。
おそらく、薬の中でも服用頻度の高い非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)と急性尿閉の関連を調査した報告です。
Verhamme KM, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs and increased risk of acute urinary retention. Arch Intern Med. 2005 Jul 11; 165(13): 1547-51.
急性尿閉(AUR)は、突然の排尿不能となり、カテーテル法が必要となる。AURはプロスタグランジン合成阻害により排尿筋が弛緩し起こると考えられている。
NSAIDsはプロスタグランジンE2の合成を阻害する。
そこで、NSAIDsの使用とAURのリスクを調査。
45歳以上の男性72114名の中から、536人のAUR患者と対照の5348人を比較。
AURは、NSAIDsの未使用者と比べて、現在服用している者のリスクは2.02(95%CI1.23-3.31)倍
AURの最も高いリスクは、最近(1週以内)NSAIDsを始めた場合、3.3(1.2-9.2)倍
用量が多い場合、2.60(1.24-5.46)倍
であった。
NSAIDsは、腰痛などの痛みをとるのに役立つ薬剤ではあるが、少なくとも45歳以上の男性では、使い始めの時期は用量を少なく始めることで、リスクを少しは減らせるかもしれないです。
今回の報告は、比較対照試験であるため、エビデンスの質は高くはないかもしれませんが、こうした情報は知っておいて損はないかと思います。