月経前症候群について
本日は、月経前症候群に関する総説と鍼の報告2編を抄読
まずは総説から、
Hofmeister S,et al. Premenstrual syndrome and premenstrual dysphoric disorder. Am Fam Physician. 2016 Aug 1;94(3):236-40.
月経前症候群(PMS)とは、「月経前3-10日の黄体期の間続く精神的、身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの」を指す。
月経前症候群のうち、精神症状が主であり、その症状が強い場合を月経前不快気分障害(PMDD)という。
女性の12%が影響を受けている。
情動症状(affective) 身体的症状
怒りの爆発 腹部膨満感
不安 乳房緊満感・腫脹
混乱 頭痛
うつ 関節痛・筋肉痛
過敏性 四肢の腫脹・浮腫
社会的ひきこもり 体重増加
これらの症状が、過去3回連続で、月経前5日間に少なくとも1つ存在すればPMSと診断。また、これらの症状が月経開始4日以内の症状解消、13日目まで再発しない、なども基準となる。
選択セロトニン作動性抗うつ薬(SSRI)が第一選択薬で黄体期のみでもOK
経口避妊薬やカルシウムサプリも使用可
ビタミンD、ハーブ療法、鍼治療に関しては、推奨するには十分なエビデンスはない。
では、この総説以前のレビューをみてみると、
Kim SY, et al. Acupuncture for premenstrual syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.BJOG. 2011 Jul;118(8):899-915.
月経前症候群の鍼治療
10件のRCTを厳選
鍼治療とSham鍼・薬物療法・無治療と比較した報告であった。
これらをメタ解析すると、
対照群に比べ鍼治療は有意な改善を示している。
しかし、バイアスの除外などが不十分な試験であることから、結果の解釈には注意が必要とされている。
最近の報告ではどうだろうか?
Zhang J, et al. Acupuncture for premenstrual syndromeat different intervention time: A systematic review and meta-analysis. Evid Based Complement Alternat Med. 2019 Jun 25; 2019: 6246285.
異なる介入時間での月経前症候群に対する鍼治療のレビュー
最終的には15編の報告が厳選(n=1103)。
15編の報告での使用経穴では、
SP6(三陰交)
LR3(太衝)
RN4(?)
が多く使用されている。
RN4ってなんでしたかね?
バイアスリスクも中等度といったところか。
結果
薬物療法、Sham、無治療に対して鍼治療はPMS症状を有意に改善させる。
サブグループ解析により鍼治療の開始時間の検討を行った結果、
介入時間による効果の差はない。
鍼治療の報告も2011年のと比べ質が高くなってきていると思います。
推奨されるには、いくつかの課題もあるかと思いますが、近いうちにそんな日がくるのではないかと期待しています。