コクランレビューによる多嚢胞性卵巣症候群に対する鍼治療
本日は、コクランレビューから多嚢胞性卵巣症候群に対するシステマチックレビューの報告を読みました。全ページで56ページほどあるので、読むのに苦労しましたが、簡略化してみます。
Lim CED, et.al. Acupuncture for polycystic ovarian syndrome. Cochrane Datebase Syst Rev. 2019 Jul 2; 7: CD007689.
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対する鍼治療の有効性と安全性を検証することが目的。
複数のデータベースから関連する報告を集積し、最終的に8件のRCTについてメタ解析(1546人)。
1)鍼治療 vs Sham治療
2)鍼治療 vs リラクゼーション
4)鍼通電療法 vs 運動または介入なし
5)鍼治療 vs Diane-35(低容量ピル)
出生率(5の比較では行われていない)、多胎妊娠率、排卵率、臨床的妊娠率、定期月経期間、流産率、有害事象について検討している。
その結果、
バイアスリスクを含むものも1つあったが、
1)鍼治療 vs Sham治療
排卵率
妊娠率と定期月経期間の回復
有害事象
4)鍼通電療法 vs 運動 ↑ 月経の回復
有害事象 ↓
4)鍼通電療法 vs 介入なし 月経期間の回復と排卵率
治療期間終了後に月経が回復
有害事象
これらの結果では、
月経期間の回復は鍼治療で改善することが示唆されるも、その他の項目はイマイチな結果ということ。
いくつかの有害事象はあるものの、その内容は重篤ものはないこと。
総合的に、鍼治療はPCOSに対する有効性を決定するエビデンスにはまだ不十分という判断ができる。
しかし、鍼治療がPCOSに対して無効ということではなく、証拠が足りないというだけで、今回の結果をみると、将来的には可能性が高いという印象を持ちました。