耳鳴りには、どんな鍼の方法がベストか?
本日は、耳鳴りに対する鍼施術の方法についての報告です。
引用文献は、
Kim BH, et al. A comparative study on the effects of systemic manual acupuncture, periauricular electroacupuncture, and digital electroacupuncture to treat tinnitus: A randomized, paralleled, open-labeled exploratory trial. BMC Complement Altern Med. 2017 Jan 31;17(1):85.
耳鳴りを治療するための全身の手動鍼治療、耳周囲の鍼通電療法、および遠位鍼通電療法の効果比較:無作為化非盲検比較試験
対象は、
韓国の病院で、特発性耳鳴りに2週間以上罹患している20-75歳の患者
除外基準は、耳鳴りの原因がメニエール病・中耳炎・頭部外傷・脳血管障害などの原因が判明しているもの、過去3か月以内に鍼治療を受けている者、妊娠中または授乳中、心疾患があるもの、耳鳴りに抗精神病薬を服用しているものとした。
方法
無作為に、全身手動鍼群(MA)・耳周囲鍼通電療法群(PE)・遠位鍼通電療法群(DE)の3群に割り付けた。
MA群~翳風(TE17)・耳門(TE21)・聴宮(SI19)・聴会(GB2)・率谷(GB8)・足三里(ST36)・上巨虚(ST37)・中渚(TE3)・四瀆(TE9)の9つの経穴に特気の後20分の置鍼。
PE群~翳風(TE17)・耳門(TE21)の2つの経穴に特気後4/100Hzの周波数で20分通電。
DE群~中渚(TE3)・四瀆(TE9)・足三里(ST36)・上巨虚(ST37)の経穴に特気後4/100Hzの周波数で20分通電。
これらの治療は、週2回を4週間の計8回行った。
評価は、THIスコア、VASを用いた。VASには、ラウドネススコア(耳鳴の音量を数値化)したものと、不快感を数値化したuncomfortableの2つ使用
その結果、
THIスコアは3群間で有意差はなし。
VASは、ラウドネススコアは3群間で有意差なし。
uncomfortableは、PE群と比べてMA群とDE群が有意な低値を示した。
群内比較では、
THIは、MA群とPE群に有意な低値を認めた。
VASの2種類とも、すべての方法で開始時と比べて有意な改善を認めた。
今回の結果だけをみると、
特発性耳鳴り患者さんが、耳鳴りによってイライラしたり眠れないといった不快感を表すことがあれば、全身手動鍼か遠隔治療を選択し、
耳鳴りの音量が小さくなればいいと思っているなら、手動鍼か耳周囲の鍼通電といった具合に、
患者さんが耳鳴りの何が特に困っているのかを最初に引き出し、それに合わせて方法を変えるというのもいいのかもしれません。
今回の結果をみると、通電はしなくても効果はありそうな気がします。
置鍼をまずは行ってもいいかなと思う印象です。