月経随伴性気胸を初めて知りました
昨日の抄読で、月経前症候群について書いていると、月経随伴性気胸なるものがあることを知りました。
比較的稀な疾患とはいえ、全く知りませんでした。
通常、自然気胸はやせ型の男性で10代~20代に多いので、ノーマークでした。
今日は、月経随伴性気胸について。
近藤光子.呼吸器疾患の性差.東女医大誌.2019;89(2):31-7.
女性のみに発症する呼吸器疾患として、
肺リンパ脈管筋腫症と月経随伴性気胸がある。
月経随伴性気胸は、月経開始24時間前から開始後72時間以内に自然気胸が発生。
発生機序として、異所性子宮内膜が胸膜に生着し、月経期の脱落により胸膜を破綻させると考えられている。
発生頻度としては、女性の気胸の原因を調べた報告では、
特発性が62%と最も多く
次いで、肺結核17%
月経随伴性気胸は、0.9%とされている(Chest.1986 Mar;89(3):378-82.)。
もう少し詳細に検討されたものを調べたら、
Joseph J,et al. Thoracic endometriosis syndrome: new observations from an analysis of 110 cases. Am J Med.1996 Feb;100(2):164-70.
110例の症例を検討した結果、
発生年齢の平均は、35.0±0.6歳で、15-54歳の範囲であった。
骨盤内子宮内膜症の発生年齢の範囲は、24-29歳で多い
胸腔内子宮内膜症の発生年齢の範囲は、30-34歳で多い
症状は、
気胸73%
血胸14%
喀血7%
Lung Nodules(肺結節)6%
であった。
すなわち、胸痛や呼吸困難感を訴えてくると思われます。
これらの症状は、右側病変が圧倒的(約90%)に多い。
右側に多い理由として、腹水が時計回りで流れていることが関係あるのでは?とされているようだ。
日本では、症例報告が多いが、最近では妊娠中に発生した1例が報告されている。
園川卓海、他.妊娠中に発症した月経随伴性気胸の1例.気管支学.2019;41:370-374.
症例は、32歳女性
主訴:胸痛
29歳ごとから、月経時に胸痛を自覚し始めたが、保存的治療で軽快していた。
今回は34週目で胸痛を自覚し右気胸と診断。
妊娠中や閉経後には、発生しないと考えられていたが、この症例のように発生しうる可能性は残しておくべき(初発ではないため、再発例として考えるべきか?)。