都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

病歴

喘息の症状の診断精度

喘息の所見について。 Eur Respir J . 2001 Feb;17(2):214-9. doi: 10.1183/09031936.01.17202140. Clinical Diagnosis of Current Asthma: Predictive Value of Respiratory Symptoms in the SAPALDIA Study. Swiss Study on Air Pollution and Lung Diseas…

2次性頭痛を疑うサイン

本日は、2次性頭痛のサインについて。 Dodick DW:Clinical Clues (primary/secondary). The 14th Migraine Trust International symposium. London. 2002. 2次性頭痛を疑うred flagの覚え方を提唱。 「SNOOP」 S:systemic symptoms/signs;全身性の症状・徴候…

BPPVかそうでないかの問診精度

本日は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の問診について。 これまでこのブログ内で何度も取り上げているめまい。 個人的な考え方ですが、 鍼灸師は未診断のめまいの場合、BPPVのみが対応で、それ以外は病院受診を最初は勧める。診断済みであれば、鍼灸併用で対…

においと頭痛

本日は、意外と多い「においと頭痛」について。 片頭痛や緊張型頭痛では、嘔吐や光過敏などの随伴症状が発生することが多いですが、臭い恐怖症も訴える人がいます。 ある報告では、前兆のある片頭痛の84%、前兆のない片頭痛の74%、緊張型頭痛43.3%で臭い恐怖…

急性前立腺炎の症状や所見

本日は前立腺炎について。 BMC Infect Dis. 2008 Jan 30;8:12. doi: 10.1186/1471-2334-8-12. Acute bacterial prostatitis: heterogeneity in diagnostic criteria and management. Retrospective multicentric analysis of 371 patients diagnosed with ac…

慢性の肩痛について

本日は、肩痛について。 Am Fam Physician. 2008 Feb 15;77(4):453-60. Chronic shoulder pain: part I. Evaluation and diagnosis. Burbank KM1, Stevenson JH, Czarnecki GR, Dorfman J. 肩痛は筋骨格系疾患の約16%を占める。 6か月以上続く方の痛みは、…

手が黄色に

本日は、てのひらが黄色といった訴えの時に考えること。 黄色の肌で真っ先に思い浮かぶのは、「黄疸」だと思います。 マクギーの身体診断学の本では、黄疸は眼に最初に出現するとあります。 なので、眼球結膜に黄疸所見がないか?を確認します。 認められな…

味覚障害について

本日は味覚障害について。 田中真琴.味覚障害の診療の基本とその実践.日耳鼻.2019;122:1279-1284. 原因が多岐に渡るため、エビデンスに基づいた標準的治療はない。 診察では、問診⇒視診⇒血液・尿検査⇒味覚機能検査⇒その他の検査という流れが望ましいが…

ACNESの臨床データ

本日は、腹痛の原因となるAnterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome (ACNES)について。 Ann Surg. 2019 Feb 20. doi: 10.1097/SLA.0000000000003224. [Epub ahead of print] Characteristics of 1116 Consecutive Patients Diagnosed With Anterior Cut…

手根管症候群の診断と管理

本日は、手根管症候群についての報告。 Wipperman J, et al. Carpal Tunnel Syndrome: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2016 Dec 15;94(12):993-999. 手根管症候群は、上肢の絞扼性障害の一般的な疾患の1つ(一般成人の3%が罹患、女性>男性)。 …

胸郭出口症候群の診断

本日は、胸郭出口症候群について。 Sanders RJ, et al. Diagnosis of thoracic outlet syndrome. J Vasc Surg. 2007 Sep; 46(3): 601-4. 胸郭出口症候群(TOS)は、動脈性・静脈性・神経性の分かれる。 このうち神経性が90%以上を占め、動脈性が最も頻度は低く…

神経痛性筋萎縮症について

本日は、神経痛性筋萎縮症(neuralgic amyotrophy;NA)について。 ParsonageTurner syndrome Idiopathic brachial plexopathy と呼ばれることもあります。 Orthopedics. 2014 Feb;37(2):75, 130-33. doi: 10.3928/01477447-20140124-01. Neuralgic amyotrophy…

下腿浮腫の考え方

本日は、下腿浮腫について。 下腿浮腫は、発生頻度が高いわりに、レビューされることが少ないです。 そんな中で、今回扱った報告は実践的なアプローチでまとめられた貴重な報告です。 J Am Board Fam Med. 2006 Mar-Apr;19(2):148-60. Approach to leg edema…

認知機能の低下を起こす見逃したくない疾患

本日は、認知機能の低下で考えたい疾患について。 認知機能が低下すると認知症と考えたくなりますが、そうではない場合も想定しなければいけません。 鍼灸院に、「最近、物忘れが・・・」や「家族がなにかおかしいけど、病院にいくべきか?」といった相談が…

いつも同じところの頭痛

本日は、頭痛患者さんに同じところが痛むか?と聞くことの大切さについてです。 以前もブログ内で少しだけ取り上げたですが、再掲します。 Prakash S, et al. Side-locked headaches: an algorithm-based approach. J Headache Pain. 2016 Dec;17(1):95. 片…

手と口がしびれたら。

本日は、手口症候群について。 手が痺れる。足が痺れる。これらが単肢の痺れの場合、脳疾患の可能性は0ではないが、可能性は低い(最初から否定はしないけど)。 でも、手と一緒に口も痺れるという場合、脳障害を考えます。 これを手口症候群と呼びます。 WH C…

肝硬変の診断精度

本日は、肝硬変について。 Udell JA, et al. Does this patient with liver disease have cirrhosis?JAMA.2012 Feb 22;307(8):832-842. 肝疾患を持つ成人患者に、肝硬変の有無を判断する方法は? 最終的に86編の報告(n=19533)が厳選され検討された。 このう…

胸椎の脊髄症はあまりみないけど

本日は、胸部脊髄症について。 胸椎椎間板ヘルニアなどにより、脊髄症となる疾患の総称。 Ando K, et al. Clinical features of thoracic myelopathy: A single-center study. J Am Acad Orthop Surg Glob Res Rev. 2019 Nov 4;3(11). 胸部脊髄症の臨床的特…

HTLV-1関連脊髄症(HAM)に関する報告

本日は、HTLV-1関連脊髄症のHAMについて。 2019年は、HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019も発行されております。 まだ全部は、読めていませんが、そのうちまとめられたら書こうと思っています。 HAMは、鹿児島や北海道に多く、私も鹿児島にいた際…

変形性股関節症の臨床検査の精度

明けましておめでとうございます。 2020年、1発目の都城鍼灸ジャーナルです。 本日は、変形性股関節に有用な臨床検査は?です。 先日、当院に20年来の変形性股関節症で、病院からは人口関節を勧められているが、ふんぎりがつかないと言う方がいました。 正直…

頚髄症の方が求めること

本日は、変形性頚髄症患者さんが、回復に求める優先順位について。 Davies B, et al. Recovery priorities in degenerative cervical myelopathy: a cross-sectional survey of an international, online community of patients. BMJ Open. 2019 Oct 10;9(10…

胆嚢癌のリスクファクターについて

本日は、胆のう癌のリスクファクターについて。 遠藤格、他.胆嚢癌の疫学とリスクファクター.胆道.2019;33(2):234-243. 胆嚢癌の早期がん(T1)での5年生存率は、ほぼ100%だが、無症状のことが多く、気付かれにくい。 進行がん(ステージⅢ・Ⅳ)での5年生…

雷鳴様頭痛の症例報告

本日は、危険な頭痛の1つである可逆性脳血管攣縮症候群の症例報告を読みました。 雷鳴様頭痛の中には、くも膜下出血や今回の可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などが属します。 Ji JY, et al. Reversible cerebral vasoconstriction with thnuderclap heada…

脊椎関節炎の問診精度

腰痛を引き起こす疾患の1つに脊椎関節炎(Spondyloarthropathy)があります。 以前もブログ内で取り上げています。 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/10/10/074436 以前は脊椎関節炎は、強直性・乾癬性・反応性・炎症性腸疾患関連性などに分けられ…

馬尾腫瘍について

本日は、馬尾腫瘍の特徴は? 村岡智也、他.馬尾腫瘍の臨床像の検討.整形外科と災害外科.2000;49(3):708-711. 脊髄腫瘍のうち、馬尾部に腫瘍がある場合を、馬尾腫瘍と総称する。 症状としては、初期は腰痛・下肢痛などの神経根刺激症状が主体となり、腰…

髄膜炎の身体所見

本日は、髄膜炎の身体所見について。 以前も書いています。 「髄膜炎の診断特性」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/06/11/060000 髄膜炎は、発症原因となる起因菌で 細菌性髄膜炎 結核性髄膜炎 真菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎) に…

自然気胸について

本日は、自然気胸について。 最近の文献は見つけられず、古いのばかりですが。 以前は月経関連の気胸について書いています。 「月経随伴性気胸」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/08/30/082310 笹野進、他.自然気胸163症例(182回治療)の臨床的…

歯ぎしりについて。

本日は、歯ぎしりについてです。 実は、私も歯ぎしりをします。 でもあまり調べたことがなかったので、調べてみると、睡眠時の歯ぎしりを 英語では、「Sleep bruxism」とかってなるようです。 「bruxism」だけだと睡眠時ではなく覚醒時の噛みしめとかになる…

偽痛風について

本日は膠原病のなかの偽痛風について。 どこに痛みが出やすいかを調べた報告です(古い報告ですが)。 現在もそんなに変わっていないと思います。 Fam AG, et al. Clinical and roentgenographic aspects of pseudogout: a study of 50 cases and a review.Can…

仙腸関節の痛みについて

本日は、仙腸関節痛に関する二次文献から。 村上栄一.仙腸関節由来の腰痛.日本腰痛会誌.2007;13(1):40-47. 仙腸関節由来の痛みは、20世紀初頭にGoldthwaitらが提唱した。 Goldthwait JE, et al. A consideration of the pelvic articulations from an …