頚髄症の方が求めること
本日は、変形性頚髄症患者さんが、回復に求める優先順位について。
Davies B, et al. Recovery priorities in degenerative cervical myelopathy: a cross-sectional survey of an international, online community of patients. BMJ Open. 2019 Oct 10;9(10):e031486.
変形性頚髄症における回復の優先順位:患者の国際的なオンラインコミュニティの横断研究.
世界中の変形性頚髄症(DCM)患者さん481人にオンライン調査を実行し、回復優先度を検討。
対象;
調査では、四肢の痛みや機能障害などについて質問し、それらの中から回復の優先順位をつけてもらった。
項目としては、
上肢機能、歩行、体幹機能、性機能、痛みの解消、感覚の回復、膀胱直腸機能
で順番を付けた。
その結果、
何を最優先するか、
痛み(39.9%)>歩行(20.2%)>感覚(11.9%)>上肢機能(11.5%)>性機能(5.7%)>膀胱直腸機能(3.7%)>体幹機能(3.5%)
だった。
症状別に順位を付けると、
痛み(2.6±2.0)>歩行(2.9±1.7)>上肢機能(3.0±1.4)>性機能>感覚(4.3±2.1)>体幹>膀胱直腸機能
の順になった。
感覚(しびれなど)を最優先に選ぶ人は多いものの、優先順位をつけるとランクが下がるようです。
いくつかのグループに分けて解析してみると、発症からの経過、VAS、性差、上肢感覚、膀胱機能などは2群間で差はないが、術前と術後では上肢機能と歩行に有意差あり、歩行機能の違いは歩行に有意差あり、上肢機能の比較では上肢に有意差があった。
それぞれのグループ分けをまとめた優先順位をグラフ化すると、
痛み>歩行>上肢機能の順と変わらない。
患者さんに、一番気になる症状は?と問うと、「しびれ」と答える方は多いように思います。
でも、施術中に話される日常生活で困っていることなどは、しびれではなく、湯飲みがうまく持てない、トイレに行くまでが大変などが多いです。
しびれが原因で運動障害につながる感覚性運動障害もありますが、
問診をする際は、聞き方次第で患者さんの本当に気になることを漏らすことがあるかもしれません。
難しいですが、こうしたことを意識しながら問診をするといいのかもしれません。