小児の夜尿症と関連するものは?
本日は、夜尿症についてです。
Ferrara P, et al. Medical comorbidity of nocturnal enuresis in children. Indian J Nephrol. 2019 Sep-Oct; 29(5): 345-352.
小児における夜尿症の併存疾患
夜尿症は、5歳以上の睡眠中の尿失禁を、週1回以上が3か月以上続くものを指す。
泌尿器系・神経系・遺伝性が関係しあっている。
夜尿症の分類
下部尿路症状・膀胱機能障害がないMNE
原発性(原因不明)のMNEをPMNE
下部尿路症状・膀胱機能障害があるN-MNE
二次性(精神的ストレス・尿路感染症・睡眠時無呼吸・1型糖尿病・神経因性膀胱など)で続発するSMNE
となる。
2013年6月~2018年7月までにローマの病院に来た403名の患者が対象。
このうち、腎無形成症と染色体異常症の患者2人を除外した401名が最終的な対象(男児300人、女児101人、初診時平均年齢8.8±2.44歳)。
その結果、
MNE患者327人(81.5%)、NMNE患者74人(18.5%)とMNE患者が多い。
睡眠時の状態の比較をグラフにすると
睡眠障害があることが伺えます。
特にNMNEの方で顕著なので、夜尿症+睡眠障害がある場合は、早めの受診がいいと思います。
その他の症状として、
頭痛:5.2%。
便秘:14.5%
心雑音:21.4%。
学業成績が低い:3.0%
ADHD:MNE4%、NMNE13.5%
子供の便秘は、排便があっても、直腸が空になっていないことがあります。
そのため、残便感のような感覚やつねに肛門収縮の状態にあったり、場合によっては腸が膀胱を圧迫する可能性もあります。
ここらへんは問診だけでは難しいところです。
遺伝的要因を調査したら、
31.2%に関連がみつかり、
父性遺伝:53.6%(MNE:15%、NMNE:24.3%)
母性遺伝:46.4%(MNE:9.8%、NMNE:35.1%)
両方遺伝:11.2%(MNE:3.4%、NMNE:4.1%)
と夜尿症経験の親の子供も夜尿症になる可能性が高いことが示唆されます。
遺伝要因は、文献によりバラツキがあるようです。
1万人以上を調べたものでは、8%とかのものもありますので、難しいものはありますが、関連はあるのでしょう。
また、家族歴(遺伝性)の関連がある場合、家族歴がない子供と比べて治りが早いそうです。
予想では遅いのかと思いましたが,治りは早いのですね。
夜尿症で小児鍼の治療に来られた際には、親に夜尿症があったか?、睡眠障害はなにかないか?、随伴症状はないか?といったことを親御さんと相談しながら、全身を観察することで治療の糸口をつかんでいく必要がありそうです。