卵胞数の違いが妊娠結果にどのくらい影響するか?
本日は、大規模なコホート研究で、卵胞数と妊娠に関する報告です。
Liao S, et al. Prediction of in vitro fertilization outcome ad different antral follicle count threshoulds combined with female age, female cause of infertility, and ovarian response in a prospective cohort of 8269 woman. Medicine (Baltimore). 2019 Oct;98(41): e17470.
前向きコホートによる8269人の女性の年齢、不妊原因、卵巣反応と組み合わされた異なる卵胞数閾値での体外受精結果の予測
これまでに不妊症に対して、生殖補助医療(ART)の結果や妊娠への影響を予測する指標がいくつか報告されています。
その中でも、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、胞状卵胞数(AFC)は広く検討されています。
例えば、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬のコホート研究では、AMHはAFCよりも卵母細胞量と強く相関することなどが報告されています(Fertil Steril.2015;103:923-30.)。
最近では、AFCは異なる閾値でARTへの影響を検討する報告が増えてきています。
今回の報告では、まず転帰に影響を及ぼす予測因子を分析し、その後AFC四分位レベルが妊娠転帰に及ぼす影響を検討。
対象は、中国の生殖医療センターで2014年~2017年で集まった8269人の不妊治療を受けている女性。不妊原因が複数ある女性は除外され、単一の女性のみ。
このうち、2926人(35.4%)は妊娠した。
妊娠の有無で比較すると、年齢・平均AFCなどが有意な差が認められた。
BMIや卵胞刺激ホルモン(FSH)などは有意差はなかった。
AFCでの妊娠率の分布図
このグラフをみると、AFC8以降はそんなに妊娠率は増えていないようにも見える。
これをもとに、AFCを四分位し予測因子、臨床的妊娠をみると、
平均妊娠率は、28.25%・35.38%・37.38%・40.13%と増加傾向であった。
年齢とAFCは負の相関がある。
卵母細胞数は正の相関があった。
プロゲステロンには各グループで差があった。
妊娠とAFCのロジスティック解析結果、
AFCが高いほど妊娠率が増加する結果で、他の臨床研究の報告と一致。
また予測因子で複数のモデルを作って、ROC曲線でのAUCを比較すると、
当然複数の好条件が多くある方が妊娠しやすい結果となる。
不妊の原因となる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と卵管因子、子宮因子、その他の因子に分け、AFCと妊娠率を比較すると、臨床転帰に影響がでることが分かった。
同様に年齢などでもみてみると、予想通りの結果であった。
AFCと不妊原因、年齢、卵巣反応の組み合わせは妊娠の指標として有用。
特に真新しい結果ではなかったかと思いますが、
予想よりも不妊治療患者さんの妊娠率が高かったので、なにかあるのかな?と思って読んでみましたがよくわかりません。
35%って日本でもこのぐらい?20%ぐらいだと思ってましたが。
対象で、複数の不妊原因は除外ってことでしたが、不妊原因が1つって分かるものなのでしょうか?
少しスッキリしない部分はありますが、大規模臨床ができるのはすごいことです。