都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

鍼の深さで排尿障害効果が変わる?

本日は、排尿障害の1つである前立腺肥大症患者を対象に、鍼の深さが効果に与える影響について検討された報告です。

 

Yuan H, et al. Effects of Depth of Electroacupuncture on the IPSS of Patients with Benign Prostatic Hyperplasia. Evid Based Complement Alternat Med. 2019 Dec 12;2019:1439141.

良性前立腺肥大症患者のIPSSに対する鍼通電療法の深さの効果

 

対象は、良性の前立腺肥大症患者(BPH)

次髎(BL32)・中髎BL33の鍼通電療法で、

60-75mmの深さのDI群(使用鍼0.3mm×75mm);60名

25-40mmの深さのSI群(使用鍼0.25mm×40mm);60名

に無作為に分けた。

週3回、4週間実施。

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評価は、

IPSS(前立腺症状スコア)・QOL・Qmax(最大尿流量)・PVR(排尿後残尿感)の4つ

 

その結果、

開始時の2群背景に差はなし。

各群の開始前と終了時の評価では、両群とも開始前に比べて終了時は有意な改善が認められた(SI群はIPSS項目の数項目で有意差なし)。

IPSSとQOLでの2群比較では、DI群がSI群に比べ有意な改善。

QmaxとPVRは2群で有意差なし。

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総合的にみると、DI群の方が効果はありそうです。

でも、刺激量を考えて、鍼になじみのない方では、そこまで深くしなくても、それなりの効果はあるので、これで慣れてもらうっていうのも悪くはないって感じです。

私も以前、神経因性膀胱(過活動膀胱)に対して、比較したものを学会発表ですがしたことがあります。

その際も、浅くても有用な結果が得られるという結果だったので、鍼灸未経験の方には、比較的浅い刺入から始めています。

この他、このブログ内で以前取り上げた方法も参考になります。

https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/10/28/073607

良かったら、参考までに。