寒くなると、トイレが近くなりますね。
本日は、排尿に関する報告をいくつかまとめてみました。
下部尿路障害には、「蓄尿障害(頻尿・尿失禁など)」、「排尿障害(尿閉など)」、「排尿後障害(残尿感など)」の3タイプあります。
問診では、これらのタイプのどれか?を絞り込んでいくことになります。
いつからなのか?日中の排尿回数は?夜間の排尿回数は?
排尿時痛はあるか?残尿感はあるか?急に尿意を催すか?などで尿意切迫感があり残尿感がなければ過活動膀胱を疑います。
尿が出にくいことはないか?咳やくしゃみで尿をもらすか?血尿や発熱、下腹部痛はあるか?などの随伴症状も聞きます。
多くは、鍼灸の適応となりますが、随伴症状がある場合は、一度病院を受診してもらう方がいいです。
薬剤による治療、骨盤底筋群のトレーニングなどありますが、その他に電気刺激や鍼灸治療も有効です。
電気刺激を使って、膀胱容量を増やす報告を本日は紹介します。
Barroso U. Para-sacral transcutaneous electrical stimulation (TENS) for overactive bladder (OAB).
過活動膀胱患者に対して仙骨刺激をする方法
写真は10歳の男の子のようです。
第3仙骨神経(S3):中髎穴刺激が治療の中心ポイントで、いくつかの報告と同様に子供の尿失禁の改善が得られたとしています。
鍼灸治療でも同様の刺激ポイントで、排尿に関わる下腹神経や骨盤神経に影響を与え膀胱容量を増やし、突然の尿意を感じることを減らしていきます。
Gennaro MD,et al. Posterior tibial nerve electrical stimulation.
後脛骨神経電気刺激(PTNS)は、30年近く前に最初の臨床報告があったが、それ以降ほとんど追試が行われていない方法。
後脛骨神経は、末梢混合感覚運動神経で、L4~S3から発生する神経。
PTNSは、求心性に仙骨神経を介して膀胱の排尿筋を抑制する(J Urol.2003;169: 2210.)。
経穴でいう太谿穴あたりの刺激になりそうです。
鍼灸治療でのポイントにもなります。
Chen ML, et al. Electrical stimulation of somatic afferent nerves in the foot increase bladder capacity in healthy human subjects. J Urol.2014 Apr;191(4):1009-13.
Chen ML, et al. Electrical stimulation of somatic afferent nerve in the foot increases bladder patients after sigmoid cystoplasty. BMC Urol.2015;15:26.
電極を足の裏に設置する方法で、膀胱容量が増えるか検討。
まずは、健康な成人で行った結果、有害事象もなく、膀胱容量を増やした。
次いで、過活動膀胱の11人にも同様の刺激を行った。
周波数は5Hz、つま先の筋収縮が出る強度で行った。
その結果、
日中排尿回数の減少・排尿量の増加・尿失禁の回数減少・突然の尿意も減少・有害事象なしとのことであった。
最初の2つは、方法として知っていましたが、この足底の刺激は初めて知りました。
お灸での刺激でも同様の効果があるかは分かりませんが、試してみたいものです。
電気刺激は、膀胱容量を増やすことに有用な方法ですが、問題は刺激時間だと思います。たいてい、2時間ぐらいは行っています。家庭でのセルフケアにしても、少し長いので、そこらへんがネックになりそうです。
鍼灸刺激では、その時間の面はクリアできます。
セルフケアで自宅灸なんかもできると思います。
寒くなってくると、トイレが近くなってきます。
高齢になると夜間頻尿で転倒リスクが増えてきますので、今のうちから対策するのがいいと思います。