顔面神経麻痺と電気刺激 その2
本日は、顔面神経麻痺に対する電気刺激の安全性を検討した報告です。
以前もブログ内で取り上げてます。以前のは国内での報告で、
顔面神経麻痺に電気刺激は注意が必要といった内容です。
「顔面神経麻痺と電気刺激」
https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/12/03/073333
Puls WC, et al. Surface electrical stimulation for facial paralysis is not harmful. Muscle Nerve. 2019 Dec 25.
顔面神経麻痺に対して電気刺激は有害ではない
除神経されら筋への電気刺激は、再神経支配を遅延させるのか?また、共同運動などが増加するのか?を検討。
2つの研究を行った報告。
研究1;顔面神経再建手術を受けた39名の回復までの時間
在宅電気刺激群6名と電気刺激なし33名の比較
研究2;顔面神経麻痺患者13名の評価
電気刺激あり7名、なし6名の比較
評価には、SunnybrookとeFACEスコアを測定。
Sunnybrookスコア:随意運動の回復、安静時非対称、病的共同運動の3要素から構成され、随意運動の回復点数から安静時の非対称と病的共同運動の点数を引き算した複合点で評価する方法であり、麻痺回復後の後遺症が十分に考慮されている。
電気刺激;1日2回、10分間、週5日行った。
画像を見た感じでは、左右同部位を同時に刺激するもののよう。
結果;
研究1:
電気刺激を行った6名の顔面神経麻痺は、良性(n=5)もしくは悪性腫瘍(n=1)が原因。
電気刺激なしの33名は、良性(n=19)もしくは悪性腫瘍(n=10)、感染症・特発性・出生時の外傷・外傷性損傷が各1名。
電気刺激を行ったグループの機能的神経支配の回復率は100%。
電気刺激なしでは、91%だった。
両群における回復期間の差はなかった。
研究2;
2群間での比較では、安静時評価では有意差なし。
病的共同運動では、閉眼時の項目で有意な改善が認められた。
電気刺激は、顔面神経麻痺において、言われているほど負の効果はないことが示唆されるとされた。
今回の報告は、鍼灸師が遭遇しやすいベル麻痺を対象としたものではなく、より回復が遅延する患者での検討です。
また、対象者の中には、EMG検査において完全な麻痺が認められた症例も含まれていたとのことです。
もう少し症例数が多いとまた違った結果になるかもしれませんが、少なくとも、顔面神経麻痺には絶対に電気刺激がいけないというではなく、やはりタイミングや刺激方法により変わると思います。