腸腰筋とコルチゾールの関連性か?
ですが、まだ分からないことなので、そうなのかな?程度で読んでもらえるといいかと思います。
清水芳樹、他.Cushing病とKlinefelter症候群の合併により亜急性に進行する両下肢近位筋筋力低下を呈した1例.臨床神経.2019;59:253-7.
山田穂高、他.著しい筋力低下を認めたACTH非依存性両側副腎皮質大結節過形成(AIMAH)の一例.自治医科大学紀要.2012;35:101-5.
これらの報告は、クッシング症候群に関連した疾患で、いずれも腸腰筋の萎縮を呈して症例でした。
クッシング症候群とは、
グルココルチコイド過剰産生で出現する身体的徴候を呈する病態を指し、
ACTH依存性(下垂体病変、異所性ACTH症候群)と非ACTH依存性(副腎腺腫や癌、過形成など)に分類できる。
クッシング症候群について調べた報告では、
The diagnosis of Cushing's syndrome: atypical presentations and laboratory shortcomings. Arch Intern Med.2000 Nov 13;160(20): 3045-53.
表をグラフにすると、
クッシング症候群患者302例の症状頻度
となり、筋力低下は近位筋で起こる。その頻度は64%とされています。
グラフにはありませんでしたが、
女性化乳房や水牛肩などもあります。
これは、グルココルチコイド(コルチゾール)が関係しているのでしょうか?
コルチゾールは、うつ病(大うつ病性)のような精神的ストレスを受けているとき、アルコール依存性などでもコルチゾールが高値を示します(Biopsychosoc Med.2015;9:23)。
大うつ病の患者は、クッシング症候群のいくつかのホルモンの特徴を示す場合があります。うつ状態では、コルチゾール産生がわずかに増加しますが、LDDSTによる抑制の失敗と、時々UFCの増加が見られます。
うつ病の患者では高コルチゾール症は通常軽度であるが、は正常な概日コルチゾールリズムであり、はクッシング症候群の鑑別診断が困難な場合があります。臨床的特徴(すなわち、高血圧、薄い皮膚、体幹部肥満)、血液化学プロファイル(すなわち、血球数とグルコース、カリウム、凝固検査)、および尿中コルチゾール測定の正確な検査は、正しい診断を提供します。さらに、うつ病の患者では、CRHテストに対するACTH応答は鈍化していますが、コルチゾール応答は正常です。 うつ病は高コルチゾール症の一般的な症状であり、クッシング症候群の発生に先行する可能性があるため、より顕著な内分泌異常を示すうつ病のすべての患者に注意深い経過観察が必要です。
筋肉は同化(アナボリック)と異化(カタボリック)のバランスで成り立っています(Nat Med.2004 Jun;10(6):584-5.)。
同化とは、組織が新たに合成されることを指し、
異化は、組織が分解され壊されることを指します。
正常な状態では、グルココルチコイド系とmammalian target of rapamycin(mTOR)系が筋肉の異化と同化のバランスを保っているようです。
ですが、クッシング症候群などのコルチゾールが増加する状態になると異化が同化よりも勝り、筋委縮や筋力低下が起こるようです。
うつ病などの方でも、うつむいた姿勢や動作が小さいなどの特徴がありますが、
もしかしたら、コルチゾール上昇→腸腰筋の筋力に異常→動作が小さいなどにつながるのかな?と思っています。
今のところは、根拠はありませんが、なんらかの関連性はありそうです。