都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

過換気症候群について

2015 Jun 25;10(6):e0129562.
 doi: 10.1371/journal.pone.0129562. eCollection 2015.

Primary Hyperventilation in the Emergency Department: A First Overview

 
過換気症候群の特徴について研究。
 
研究デザイン;後ろ向きコホート研究
 
対象は、16歳以上の過換気症候群患者616名(平均年齢36.5歳、女性55.4%)。
 
結果;
特徴について(表1)
症状として、恐怖感を呈したのが95.1%、次いで知覚異常61.5%、めまい49.7%。
過去に同様に過換気症候群を起こした経験がある方は30.4%。
不安障害やパニック障害うつ病といった疾患が併存していたのが50.1%と半数に及んだ。しかし、急性ストレス反応も36.6%いる。
大半は入院もしないし、死亡率は0%

表1

  合計(N、%) 動脈血ガス分析(N、%) 動脈血ガス分析なし(N、%) p値
N 616(100) 244(39.6) 372(60.4)  
男女 275(44.6)/ 341(55.4) 130(47.2)/ 114(33.4) 145(52.8)/ 227(66.5) 0.01
年齢(平均、SD) 36.58(15.5) 38.18(16.88) 35.53(0.75) 0.02
国籍        
スイス/非スイス 410(66.6)/ 206(33.4) 168(41.0)/ 76(36.9) 242(59.0)/ 130(63.1) 0.18
入場時間        
営業時間 285(46.3) 105(36.8) 180(63.2) 0.11
夜の時間 183(29.7) 81(44.2) 102(55.7) 0.075
照会        
ウォークイン/救急医療サービス 422(68.5)/ 194(31.5) 157(37.2)/ 87(44.8) 265(62.7)/ 107(55.2) 0.04
症状        
ストレス 220(35.7) 91(41.3) 129(58.6) 0.28
知覚異常 379(61.5) 155(40.8) 224(59.2) 0.23
めまい 306(49.7) 111(36.2) 195(63.7) 0.05
胸痛 177(28.7) 71(40.1) 106(59.9) 0.47
恐れ 586(95.1) 234(39.9) 352(60.1) 0.26
過去の過呼吸エピソード 187(30.4) 71(37.9) 116(62.1) 0.26
総併存疾患(SD範囲)        
併存疾患の数 1.89(0.77、0–5) 1.89(0.76) 1.90(0.78) 0.45
精神医学的併存疾患(全体) 311(50.5) 113(36.3) 198(63.7) 0.05
不安/パニック障害 122(39.2) 44(36.1) 78(63.9) 0.4
中毒 18(5.7) 9(50.0) 9(50.0) 0.46
うつ病 34(10.9) 10(29.4) 24(70.6) 0.27
精神病 3(1.0) 2(66.6) 1(33.4) 0.56
パーソナリティ障害 11(3.5) 5(45.4) 6(54.6) 0.76
身体化障害 9(2.8) 5(55.5) 4(44.5) 0.32
急性ストレス反応 113(36.6) 39(34.2) 75(65.8) 0.091
緊急精神科サービスへの紹介 87(14.1) 39(44.8) 48(55.2) 0.28
入院        
外来/入院 593(96.3)/ 23(3.7) 229(38.6)/ 15(65.2) 364(61.4)/ 8(34.8) 0.015
入院期間(平均、SD) 6.3(6.1、1〜25)      
院内死亡率 0(0) 0(0) 0(0)
 
発症が多い年齢は、男女ともに20代、
男性は30代が続くが、女性は40代
20-40歳代は、特に過換気症候群を起こしやすい傾向にある。
An external file that holds a picture, illustration, etc.
Object name is pone.0129562.g002.jpg
 
不安障害やパニック障害うつ病の既往のある20-40代の女性は、過換気症候群になる可能性が潜んでいる。
対策として、腹式呼吸の練習や過換気状態をしっかりと理解しておくと、恐怖感がうすれるかもしれません。こうした予防策をしておくといいかもしれません。