HTLV-1関連脊髄症(HAM)に関する報告
本日は、HTLV-1関連脊髄症のHAMについて。
2019年は、HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019も発行されております。
まだ全部は、読めていませんが、そのうちまとめられたら書こうと思っています。
HAMは、鹿児島や北海道に多く、私も鹿児島にいた際は、20例近く経験しました。
本日はそんなHAMについて、日本からの報告です。
Tsutsumi S, et al. Real-world clinical course of HTLV-1-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis (HAM/TSP) in Japan. Orphanet J Rare Dis. 2019 Oct 21;14(1):227.
日本でのHTLV-1関連脊髄症・熱帯痙性対麻痺(HAM・TSP)の実世界臨床コース
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症はまれな慢性神経疾患のため、継続的な大規模臨床研究は困難である。そのため、併存疾患の発生率と薬剤使用データなどは不明であった。
2012年~2016年に日本でHAM-netに登録された486名を対象に、疫学的情報と下肢の運動機能障害の変化について検討。
下肢の運動機能評価は納の運動障害重症度を使用
患者背景;40歳代女性の発症が多い
併存疾患;上記の表から
年間1000人あたりの割合
骨折:55.5(44.0-69.8)%
下肢の骨折と脊椎圧迫骨折を合わせて45%
帯状疱疹:10.4(6.2-17.4)%
白内障:9.4(5.4-16.5)%
ブドウ膜炎:6.5(3.3-12.7)%
糖尿病:6.2(3.1-12.2)%
関節リウマチ:3.0(1.2-7.7)%
薬剤状況;
経口ステロイド使用:48.2~50.7%
経口プレドニゾロン用量の中央値:5.0mg/日
インターフェロンα使用:2.6~3.5%
骨折や帯状疱疹の発生率は、ステロイド治療群が未使用群に比べて多い傾向(骨折:61.0vs48.3、帯状疱疹:12.7vs8.8)。
運動障害;
経時的変化として、運動障害は2年で0.20悪化、4年で0.57の悪化が観察された
この変化はステロイドの使用で異なる結果。
ステロイドを長期服用していると、当然骨折リスクは高くなると思います。また帯状疱疹リスクも上がるのは分かります。
白内障は、関係ない?
私がみてきたHAMの患者さんにはシェーグレン症候群の合併例が多かったのですが、
これでは0.8と低いようです。レアケースだったのかな?と思っています。
下肢麻痺に伴う転倒を予防することで骨折リスクを下げる必要もありますが、その他にも杖歩行の方は、両肩に力が入り、肩の痛みを訴えることも多く、体幹の機能低下により代償性に脊柱起立筋の筋緊張亢進例もあります。車いすの方は、座位時間も長いため褥瘡予防も必要です。また食欲低下なども起こりやすいので、こうした症状にも鍼灸施術で何が出来るのかをもっと考えていかないといけないなと感じます。