POEMS症候群について
本日は、POEMS症候群についてです。
POEMS症候群は、日本ではクロウ深瀬症候群とも呼ばれる難病指定の疾患です。
私も過去には1例だけ経験があります。
白血球の1種であるBリンパ球(B細胞)の分化した状態である形質細胞から産生される血管内皮増殖因子(VEGF)による血管透過性亢進が引き金となる。
人口10万人あたり0.3人と非常にまれな疾患。
POEMSとは、臨床症状からきている。
P;Peripheral neuropathy:末梢神経障害
98-100%の患者に認められる症状で、両下肢のしびれが初発症状となるケースが約半数
O;Organomegaly:臓器腫大
肝脾腫、リンパ節腫脹(キャッスルマン病)
E;Endocrinopathy:内分泌異常
耐糖能異常(糖尿病)、性腺機能異常(精巣萎縮・女性化乳房)、下垂体機能異常、甲状腺機能異常、副甲状腺機能異常、副腎機能異常、膵機能異常
M;M Protein:M蛋白
骨髄中の形質細胞は5%以下であることが多く、M蛋白血症はIgAλ(ラムダ)・IgGλが大半(54-100%)
S;Skin Change:皮膚変化
色素沈着、多毛、血管腫、チアノーゼ、紅潮、白色爪
皮膚変化については、90%近い患者に起こると報告されています。
気付きやすいので、こうした変化があれば要注意かもしれません。
Miest RY, et al. Cutaneous manifestations in patients with POEMS syndrome. Int J Dermatol. 2013 Nov;52(11):1349-56.
107名のPOEMS症候群患者の皮膚変化を調査。
96人(90%)に皮膚変化所見があった。
皮膚変化所見は、複数あり、
過剰な色素沈着や血管腫が47%と最も多く、多毛症(38%)、末端チアノーゼ(34%)、白色爪(30%)、強皮症変化(26%)、レイノー現象(20%)、充血・紅斑(20%)、紅潮(16%)、風疹(11%)、クラビング(6%)
だった。
血管腫;
過剰な色素沈着と白色爪;
白色爪;
この中では、頻度は30%だが、白色爪が最も分かりやすい。
また多毛症も分かりやすいかな。
この他の全身的な症状として、胸腹水や全身性浮腫(原因不明の場合は考慮)などもある、CIDPと間違われることもある。
鑑別疾患では、
CIDP、CIAP、糖尿病、アルコール、腰部脊柱管狭窄症、傍腫瘍症候群
などは下肢のしびれとして間違われやすい。
下肢のしびれでは、感覚性運動障害を呈するか?否か?で考えるのも1つの方法だと思います。
例えば、糖尿病やアルコール性末梢神経障害では、感覚性運動障害は出にくいので、純粋なしびれだけなのか?運動機能にみ影響があるのか?
といった考え方でも間違いは少し減らせるかな?と思います。