bow-hunter症候群について
本日は、bow-hunter症候群について。
先日、当院に肩こり・首コリを主訴に来院されている方が、数日前にめまいが起きたと言われる。
話を聞くと、臥位になった際や座位時に右側を向くとめまい誘発。左側回旋では起きない。
前屈みでは起きない。
めまいは正中に戻すと回復。
両耳のしわ(フランクサイン)あり。
既往歴:高血圧、学童期は起立性低血圧で朝礼で倒れることが何回かあった。
臥位時の血圧と立位時5分での血圧などの変動は異常なし。
血便などはなし。
めまいと同時期の頭痛発作はなし。
BPPVの可能性も少しはあるけど、頸性めまいの方が可能性は高そう。
あとは、心原性や起立性低血圧の可能性は低いかな。と思っています。
頸性めまいならば、bow-hunter症候群の可能性が高いと考えました。
本日は、その症例報告を読みました。
田中将平、他.自然軽快したbow-hunter症候群の1例.臨床神経学.2012;52(1):34-37.
bow-hunter症候群は、頭位変換による椎骨脳底動脈領域の循環不全により、めまいや意識障害、感覚障害などを起こす。
症例は、74歳、男性。
主訴:頭部左方回旋時の意識もうろうとなる発作
既往歴;高血圧、糖尿病、気管支喘息、腰部脊柱管狭窄症
現病歴:車庫入れで左回旋をした際に意識もうろうとなった。その後は左右いずれかの回旋で起こるが、左回旋で特に強い。
意識消失や神経症状はなかった。
所見;左回旋して1・2秒後に意識もうろうとなる。正中位に戻すと速やかに回復。
心電図異常なし、脳血管造影で異常所見あり。
その後回旋制限を行っていて、自然に回復した。
従来は、外科的手術などが行われていたが、頚部回旋制限や抗凝固療法で回復する症例が集積されつつある。
これらの症例が自然回復したかは不明とのこと。
個人的には、頚部回旋動作で、めまい以外の神経学的異常(特に頭痛・複視・構音障害・嚥下障害・知覚異常)がない。意識消失しない。などのいくつかの項目が否定されれば、鍼灸も施術可能(後頭下筋などの施術)となるのではないかと思うが、いかんせん症例が少なすぎるので、判断が難しい所。
この報告の症例は、C5・6レベルの頚椎狭窄があったが、通常C1・2あたりの狭窄(やはり後頭下筋の関与?)であることが多そう。1例だけC5・6例がある。
また今回、私が経験したのは右回旋だが、上記の保存的治療を行ったのは左回旋が多い。なにか違いがあるか?
もう少し今度調べてみようと思います。