雷鳴様頭痛の症例報告
本日は、危険な頭痛の1つである可逆性脳血管攣縮症候群の症例報告を読みました。
雷鳴様頭痛の中には、くも膜下出血や今回の可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などが属します。
Ji JY, et al. Reversible cerebral vasoconstriction with thnuderclap headache: A case report. Medicine (Baltimore). 2019 Dec;98(49):e18254.
雷鳴様頭痛を伴う可逆性脳血管攣縮症候群:症例報告
RCVSは、しばしば雷鳴様頭痛を伴い、症状は2ヵ月以内に消退することが多いが、ときに脳出血などを合併することもあるため、経過は慎重になる必要がある。
症例:49歳、女性。
主訴:頭痛
子宮筋腫があり、子宮摘出術を受けた4日後の排便時にNRS10の激しいズキズキする、拍動する頭痛が起こった。
発症時の血圧;180/84mmHg、心拍数;84回/分
頭痛は頭部全体で、特に前頭部と外側部で強かった。
体動(運動)により悪化。
嘔吐を伴う。
治療;ジクロフェナクとプロパセタモールの投与でNRS2に減少。
しかし、翌日の排便時に再度激しい頭痛が起きた。次第に排便時に関係なく痛みが出るようになった。
頭頚部CTA;
初回の頭痛発生後は、異常所見なし。
頭痛発生から1ヶ月後は、前大脳動脈の両側性、多巣性に可逆性血管攣縮を認めたことから、RCVSと診断された。
雷鳴様頭痛はICHD-3では、1分未満で発生し、5分以上続く最大強度の突然の痛みとして定義。
RCVSは、性的活動やバルサルバによって発症することが多い。
正確な発生率は不明。
頭痛の性状は、ズキズキ、拍動性、ドキドキするという訴えがある。
吐き気や嘔吐を伴う。
頭部全体または頭部の両側が痛む。
片頭痛と似ているが、突然発症と頭痛強度が最大の相違点。
片頭痛で使われるトリプタンは、RCVSを悪化させる(血管収縮)ことがある。
病態生理は、アドレナリン性脳血管緊張応答の多様性、BDNF遺伝子などが推測されているが、正確なものは不明。
治療法は明確なエビデンスはまだない。
β遮断薬は使用しない方がいいという報告がある。
頭痛に関しては、何度もこのブログ内で書いていますが、
初発・突発・増悪・最悪がある場合、注意が必要だと思っています。
今回のRCVSは初発・突発・最悪の3つがそろっていました。
レッドフラッグはやはり大切です。
また、今回の症例は、病院受診してますが、くも膜下出血の患者でも病院受診をせず、市販の鎮痛薬で痛みが軽減する症例が結構いることも報告されています。
そうした患者さんが鍼灸院に来られる可能性はあると思っていた方がいいと思います。
頭痛発生時の状況を聴取し、レッドフラッグがあれば、必要な所見をとり、病院受診を勧めるか、そのまま施術に入るかを決める必要があります。