ギラン・バレー症候群の先行感染は何がある?
本日は、ギラン・バレー症候群について。
ギラン・バレー症候群は先行感染が起こることが多いのは有名ですが、感染の原因菌について私はあまり知らない。
私が過去に経験したギラン・バレー症候群の患者さん8例程度ですが、「風邪」の後と答える方が多くて、原因菌までは聞いていなかったです。
Hao Y, et al. Antecedent infections in Guillain-Barre syndrome: a single-center, prospective study. Ann Clin Transl Neurol. 2019 Dec;6(12):2510-2517.
ギラン・バレー症候群の先行感染:単一施設の前向き研究.
ギラン・バレー症候群を発生した中国の患者150人の検討。
背景;今回の内容とは話がずれますが、ギランバレーは両下肢のしびれとして訴えることが初期ではあり、その場合、糖尿病性末しょう神経障害と間違えやすい。しかし、ギランバレーは感覚障害<運動障害なので、そこが鑑別点となりやすいと思います。
先行感染の原因菌14を検査。
ギラン・バレー症候群の約半数(53%)が先行感染あり。
原因菌は、
カンピロバクタージェジュニ:27%
インフルエンザA型:17%
インフルエンザB型:16%
A型肝炎ウイルス:5%
デング熱ウイルス:3%
サイトメガロウイルス:3%
エプスタインバーウイルス:3%
肺炎マイコプラズマ:2%
単純ヘルペスウイルス:2%
水痘帯状疱疹ウイルス:1%
風疹ウイルス:1%
E型肝炎ウイルス、その他のインフルエンザ菌、ジカウイルスはなし
臨床症状との関連は?
インフルエンザB型は、運動障害型の典型的なギランバレー症候群の症状に近い。
先行感染なしとインフルエンザA型では、50%以上が感覚障害がある。カンピロは3割。しかし同時に8割以上が運動障害を有する。
カンピロバクタージェジュニ、インフルエンザA型、インフルエンザB型、A型肝炎ウイルスはギラン・バレー症候群につながる可能性がある。
そして、原因菌により臨床症状が異なることが示唆されます。
あまり、インフルエンザなどがギラン・バレー症候群を発生することは医療関係者以外は知らないことが多いと思います。
先行感染は、原因菌の症状が発症していから数週間を要することもあるので、そこまでさかのぼって聴取する必要があるのだろうと思います。
糖尿病性末梢神経障害の疑いがある場合、運動障害の程度も確認して、ギランバレーを鑑別する必要があります。
予防としてインフルエンザは、予防接種からですね。
カンピロバクターはしっかりと加熱して食中毒に気を付けることですかね。