頭痛と顎関節症
本日は、頭痛を起こす顎関節症についてです。
二次性頭痛になりますが、鼻疾患、耳疾患、口腔疾患、顎関節疾患なども初診時には問診が必要です。
牧山康秀.顎関節症と関連する頭痛の診断と管理:顎関節症の臨床で必要な頭痛と脳疾患の知識.日顎誌.2018;30:177-186.
顎関節症、咀嚼筋と頭痛との関係について。
頭痛は眼窩外耳孔線より頭側の痛みと定義。
側頭筋痛も頭痛になり、上顎神経と下顎神経の歯性疼痛の放散痛も頭痛となる。
これより、
咀嚼筋は、側頭筋や咬筋を指し、側頭筋痛はそれだけで頭痛になる。
また、三叉神経第1枝領域への放散痛、関連痛を示すこともある。
顎関節症患者における咬筋の圧痛は、三叉神経第1枝領域への関連痛がでることがある。
こうした、顎関節症による頭痛は、分類上では二次性頭痛となる。
しかし、緊張型頭痛や片頭痛患者には、顎関節症の既往が多いことが報告されており、オッズ比7.05[3.65-13.61]とされている(J Orofac Pain. 2010; 24: 287-92.)。
こうした2つ以上の頭痛を持つことを共存と呼ぶが、顎関節症は、片頭痛(特に慢性片頭痛)・緊張型頭痛・慢性連日性頭痛と共存しやすいとされている。
こうした一次性頭痛と顎関節症のには、三叉神経を中心とした末梢性・中枢性感作が関係すると考えられている。
最後に、顎関節症と診断されていればいいですが、そうではない場合、
一応、頭の片隅にでも入れておきたいことがあります。
下記の症例は、頭痛を呈し、顎関節関連のものと思われたが、実は危険な疾患だったという紹介です。
上記の症例以外にも、顎関節症と同様の開口障害(口が3横指分開かない)などを呈するのは、
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)~咀嚼筋の虚血
破傷風~咬筋のけいれん
三叉神経障害~咀嚼筋支配
強皮症や混合性結合組織病~口周囲の皮膚硬化
などが挙げられます。
特に、巨細胞性動脈炎は、側頭動脈の圧痛から頭痛として訴えることがあります。
また顎跛行として、顎が痛むという訴えにもなりますので、顎関節症と間違えないようにしないといけません。
その場合、
40歳以前よりも痛んでいたか?
顎の痛みは、食事中に徐々に顎が痛くなって来ないか?
側頭動脈に数珠状の血管の異常は目視できるか?
などを確認することで可能性を下げることが出来ます。
このような症例が鍼灸院に来られるかは分かりません。ですが、分からないからこそ考えないといけないのだと思います。
一次性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛)が多いなか、二次性頭痛として副鼻腔炎や顎関節症が関与してくることはあります。最初にきちんと問診して確認することを忘れないように気を付けないといけません。