都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

口が渇くという30代女性。

先日、当院に慢性腰痛で来院された患者さん。

30代、女性で、腰痛に関する事項を問診し、鍼灸施術を行っていたのですが、会話をしていると、「最近、口が渇く。」ということを言われました。

「腰痛+口腔乾燥?」

反省を込めて、疾患頻度を調べてみました。

 

伊藤加代子、他.口腔乾燥症診断チャートの開発.日摂食嚥下リハ会誌.2018;22(2):153-160.

 

2014年1月~2016年12月までの220名(男性33名、女性187名、平均年齢62.2±15.5歳)。

年齢・性別・既往歴・服用薬剤名・喫煙歴・飲酒歴

症状がいつから始まった?思い浮かぶきっかけはあるか?

関連した症状はあるか?

口呼吸ではないか?

精神疾患の合併はあるか?

などの確認を問診や質問票で行い、

安静時の唾液分泌量、ガムテスト、耳下腺などの検査などで診断。

 

最終的に診断にたどりついたのは212名(途中で来院がとぎれたなどが理由)。

診断には、

心因性~口腔乾燥感があるが、唾液分泌量が低下していないもの

神経性~脳卒中などの唾液核以上の中枢病変

自律神経性~ストレスや抑うつなどの自律神経失調に伴うもの

薬剤性~薬剤副作用によるもの

特発性~原因不明のもの

など

 

頻度をグラフ化すると、

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自律神経性が最も多かったが、これらの結果は重複(要因が2つ以上74.5%、3つ以上31.8%)がある。

 

最も強く影響していると考えられた要因をグラフ化すると、

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自律神経性・薬剤性・蒸発性は下がるが、他の要因はあまり変わらない。

つまり、これら3要因には、他の要因があると思った方が良さそうです。

 

他に影響すると考えられる要因として、

自律神経性;28.2%

薬剤性;40.9%

蒸発性;27.3%

となり、高い頻度で他の要因と関連しそうです。

 

まずは、口呼吸がないか?を観察。

次いで、薬剤で口腔乾燥症をおこすものはないかをチェック。

これらに該当しなければ、自律神経性の可能性が高いが、放射線治療を受けていないか?耳下腺の腫れなどがないか?なども観察し、シェーグレン症候群の可能性を忘れない。

鍼灸師としては、こんな感じの流れになるかな?と思います。