口が渇くという30代女性。
先日、当院に慢性腰痛で来院された患者さん。
30代、女性で、腰痛に関する事項を問診し、鍼灸施術を行っていたのですが、会話をしていると、「最近、口が渇く。」ということを言われました。
「腰痛+口腔乾燥?」
反省を込めて、疾患頻度を調べてみました。
伊藤加代子、他.口腔乾燥症診断チャートの開発.日摂食嚥下リハ会誌.2018;22(2):153-160.
2014年1月~2016年12月までの220名(男性33名、女性187名、平均年齢62.2±15.5歳)。
年齢・性別・既往歴・服用薬剤名・喫煙歴・飲酒歴
症状がいつから始まった?思い浮かぶきっかけはあるか?
関連した症状はあるか?
口呼吸ではないか?
精神疾患の合併はあるか?
などの確認を問診や質問票で行い、
安静時の唾液分泌量、ガムテスト、耳下腺などの検査などで診断。
最終的に診断にたどりついたのは212名(途中で来院がとぎれたなどが理由)。
診断には、
心因性~口腔乾燥感があるが、唾液分泌量が低下していないもの
神経性~脳卒中などの唾液核以上の中枢病変
自律神経性~ストレスや抑うつなどの自律神経失調に伴うもの
薬剤性~薬剤副作用によるもの
特発性~原因不明のもの
など
頻度をグラフ化すると、
自律神経性が最も多かったが、これらの結果は重複(要因が2つ以上74.5%、3つ以上31.8%)がある。
最も強く影響していると考えられた要因をグラフ化すると、
自律神経性・薬剤性・蒸発性は下がるが、他の要因はあまり変わらない。
つまり、これら3要因には、他の要因があると思った方が良さそうです。
他に影響すると考えられる要因として、
自律神経性;28.2%
薬剤性;40.9%
蒸発性;27.3%
となり、高い頻度で他の要因と関連しそうです。
まずは、口呼吸がないか?を観察。
次いで、薬剤で口腔乾燥症をおこすものはないかをチェック。
これらに該当しなければ、自律神経性の可能性が高いが、放射線治療を受けていないか?耳下腺の腫れなどがないか?なども観察し、シェーグレン症候群の可能性を忘れない。
鍼灸師としては、こんな感じの流れになるかな?と思います。