咀嚼痛の臨床症状
本日は、咀嚼に関する痛みについての報告です。
鹿嶋光司、他.咀嚼筋における筋・筋膜痛(Myofascial pain)患者の臨床的検討.J Jpn Soc TMJ.1997;9(2):366-374.
咀嚼筋;咬筋や側頭筋は、筋筋膜痛が生じやすい部位の1つ。
そして、他の部位の痛みも併発しやすい。
臨床症状などを検討した。
対象は、顎関節症と診断された193名の患者の中で、咀嚼筋障害(顎関節症Ⅰ型)に該当し、3か月以上の鈍痛・触診で痛みが誘発・咀嚼筋の圧迫で痛みが放散するの3点を満たした患者49名(男性16名、女性33名)を筋筋膜性痛患者とした。
この対象者は、
顎関節症患者全体の25.4%、顎関節症Ⅰ型のうち70%を占める割合だった。
平均年齢:418.±19.8歳(16歳~75歳)。
随伴症状;
多彩な症状があるが、頚部痛や肩こり、頭痛の随伴が多い。
要因や治療法;
左右いずれかで噛む癖がある人が多いよう。
くいしばりなどは、もう少し多いかと思ったが、意外と少ない。
治療法はスタビリゼーション型スプリントが最も多かった。
マウスピースのようなもの。
今回の報告では、咀嚼筋の痛みが頭痛などを引き起こすのか、それとも頭痛により咀嚼痛が起こるのか?は分からなですが、関連はありそうな頻度です。経験則からも関連性は高いと思います。
「米国口腔顔面痛学会による口腔顔面痛の評価、診断、管理の指針 第5版」の中で、
咀嚼筋障害の筋痛は、
1.局所性筋痛
2.拡散を伴う筋膜性疼痛
3.関連痛を伴う筋膜性疼痛
に分類されるとされています。
このいずれかに属する可能性が高いので、咀嚼痛を訴える方には、
肩こりや頚部痛、頭痛、腹部症状なども視野に入れてもいいと思います。