都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

10年で鍼の評価は変わったか?

2009年時と2019年時の鍼の評価について。

 

ROBERT B. KELLY,et al. Acupuncture for pain. Am Fam Physician. 2009 Sep 1; 80(5): 481-484.

ROBERT B. KELLY,et al. Acupuncture for pain. Am Fam Physician. 2019 Jul 15;100(2):89-96.

 

Am Fam Physicainに掲載された2009年と2019年の報告から痛みに関連した推奨度を比較。

 

2009年;

腰痛・首痛・片頭痛は推奨度A(一貫性のある証拠がある)

肩痛・膝痛・線維筋痛症・顎関節痛・術後の痛みは推奨度B(一貫性はないが、限られた証拠がある)

SORT: KEY RECOMMENDATIONS FOR PRACTICE

CLINICAL RECOMMENDATION EVIDENCE RATING REFERENCES

Acupuncture should be considered as a treatment option in the following conditions:

   
 

Low back pain

A

915

 

Shoulder pain

B

181924

 

Neck pain

A

192325

 

Headache (chronic idiopathic)

A

262829

 

Headache (migraine)

A

273031

 

Knee osteoarthritis

B

3335

 

Fibromyalgia

B

39

 

Temporomandibular joint pain

B

4041

 

Postoperative pain

B

42


A = consistent, good-quality patient-oriented evidence; B = inconsistent or limited-quality patient-oriented evidence; C = consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series. For information about the SORT evidence rating system, go to https://www.aafp.org/afpsort.xml.

 

2019年;

慢性腰痛・緊張型頭痛・片頭痛・鍼の安全性は推奨度A

急性の腰背部痛・変形性膝関節症・筋筋膜疼痛症候群は推奨度B

Acupuncture for Pain - American Family Physician

 

この10年で多くのエビデンスが集まり、さらなる証拠として提示されています。

単に推奨度として発表されるだけでなく、2019年には短期的な効果・長期的な効果と分けて書かれているものもあります。

 

痛みに関して、一定の高い評価はされているようですが、 

この証拠の多くは海外からの報告のようなので、日本鍼灸にそのままというわけにはいきません。

インターネットなどでみると、鍼灸院の多くはWHOやNIHの鍼灸適応として提示している所が多いのですが、これには少し疑問があります。

日本独自のものを学会から正式に発表することが必要です。