目のたるみ
本日は、「目のたるみ」と関係する眼輪筋についてです。
ヒトの若々しさは顔から推測することが多いですが、顔の中の目元はその要素の1つになります。
加齢により、目がたるむヒトがいます。
目のたるみが気になる人は、眼を大きくしようとして、額の横しわにつながります。
また、首コリの原因にもつながります(目を大きくする動き⇒眼球が上を向く⇒後頭下筋が緊張⇒首こり)。
目元のたるみに対して、美容鍼は数回の施術は必要ですが効果的です。
目元の写真は4か月での目の違いです。
こうした目のたるみはなぜ起こるのか?
村上裕子、他.眼輪筋に着目した目もとの加齢変化のメカニズム解析.J Soc Cosmet Chem Jpn.2015;49(1):36-41.
和田雅史.ヒト眼輪筋の筋線維構成について.昭医会誌.1990;50(5):492-498.
瞼を閉じる働きがある眼輪筋に注目しました。
眼輪筋は、筋収縮し涙嚢を拡張し、涙の排出を促す。
眼輪筋の奥には、上眼瞼挙筋という瞼を上げる筋肉と、額にある前頭筋なども関係してきます。
29-88歳(平均年齢61.7歳)の20体の遺体(男性12・女性8)から眼輪筋の横断面積、筋線維の1mm²の数・総数・太さ・密度を上瞼・下瞼で調べた。
その結果、
1)筋腹横断面積~下瞼>上瞼、男性>女性の傾向
2)1mm²中の筋線維数~上瞼>下瞼、男女差なし
3)筋線維総数~下瞼>上瞼、男性>女性
4)筋線維の太さ(Fig.4)~下瞼>上瞼、男性>女性
5)筋線維の密度(Fig.5)~下瞼>上瞼、男性>女性、男性の個体差が大きい
6)筋腹横断面積と1mm²中筋線維数は、上瞼は負の相関、下瞼は正の弱い相関。
筋線維総数とは上・下瞼に正の相関。筋線維の太さとの相関なし
これより、下瞼の方が大きな力(閉じる力)を有していることが分かる。
そして、軽く閉じる(瞬きや軽い閉眼)ときには、上瞼の筋肉が働き、強く閉じるときに、下瞼が協働することで、外眼角のしわや眼の下の皮膚が牽引されると思われる。
また今回の報告では上・下瞼の中央の筋肉を調べているが、
内眼角と外眼角では筋力が異なる。
眼輪筋は、眼窩部と眼瞼部、涙嚢部の3つに分けられ、
眼窩部と眼瞼部の起始の多くは、内側眼瞼靭帯で、
眼窩部の停止は、上・下瞼板の内側(他の停止部もある)、
眼瞼部の停止は、外眼角の皮膚に終わる。
#もう少し解剖を知りたい方は、本ブログ内の
「表情筋について」を参照ください。
筋肉は、停止部が起始部に近づくことで、筋力が発揮されます。
眼輪筋の多くは内眼角で起始と停止がありますので、眼の内側に力が入りやすい(目を強く閉じると分かると思います)。
相対的に、目の外側の筋肉が働きが弱いので、筋力も加齢により衰えやすい。
眼輪筋が劣ろえると、眼の周りの脂肪を支えられなくなり、脂肪が前方に飛び出してきて、目元のたるみ・クマなどとなる。
改善する・予防するには、眼を開けるときに意識するのが大切で、
眼の内側を使って目を大きくしようとすると、眼のたるみ・額の横しわにつながるので、
こめかみあたりで、眼を大きく開けようとすると、目元のたるみの改善につながります(コツは、鼻から息を吸うときに、こめかみで息を吸っているように意識すること)。
また、最初に書いたように美容鍼もおすすめです。
鍼や灸を、太陽穴に行うと眼が開けやすくなります。
また、眼輪筋を鍛える作用も期待できます。
眼輪筋の筋肉の元になる筋芽細胞にIGF-1(成長因子)が関わっているのですが、
鍼刺激により、このIGF-1が産生されることも報告があります。
これにより、眼輪筋の筋肉の衰えを防ぐ、もしくは改善することが期待できます。
筋肉の成長や予防効果は、なかなか実感が得られにくいかと思いますが、続けていただくと効果があると思います。
目の筋肉をきれい使うと、眼精疲労の予防・肩こり・首コリが少し緩和される、頭痛が出にくくなるなども期待できるので、おすすめです。