口を開ける・閉じる筋肉
本日は、顎を動かす筋肉についてです。
山片重徳、他.骨格性下顎前突症者の顎顔面形態と咀嚼筋活動に関する研究.Jpn. J. Jaw Deform. 7 (1): 10~17, April, 1997.
咀嚼筋には、咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋が含まれる。
この他、口を開けるのに舌骨筋群も関与する。
それぞれの大まかな起始停止;
・咬筋~起始:頬骨弓、停止:咬筋粗面、作用:下顎骨の挙上
・側頭筋~起始:側頭窩・側頭筋膜、停止:筋突起、作用:前部は下顎骨の挙上、後部は下顎骨の後方運動
・内側翼突筋~起始:翼突窩、停止:翼突筋粗面、作用:下顎骨の挙上
・外側翼突筋~起始:上頭は側頭下稜および蝶形骨大翼、下頭は翼状突起外側板外面、停止:上頭は関節円板や関節包、下頭は下顎頸翼突筋窩、作用:上頭は下顎骨の挙上、下頭は下顎骨の前方運動
外側翼突筋は、片方だけ働くと、顎を左右に動かす作用になる。
4つの筋の神経支配は下顎神経(三叉神経)
これらは、主に閉口に関わる。
開口には、舌骨筋群が関わる。
これらの筋肉の異常があると、顎の歪み(左右・前後)や食いしばりなどの影響が出てくる。
また直接は顎運動に関与はしないが、胸鎖乳突筋は側頭筋と関連する。
噛むという動作では、咬筋が主戦力と答える人が多いことから推測するに、
側頭筋をあまり意識していない=胸鎖乳突筋も使えていない⇒首がうまく使えないという流れがあるように感じます。
反対に言うと、胸鎖乳突筋を意識する⇒側頭筋が働き、咬筋の負担が減る=食いしばりなどが少し楽になる。
ということも言えるのかな?と最近は思っています。
このように、どの部位の異常で、どのような表情になるのか?どのような所見が得られるのか?は確認するのが望ましいと思われます。
表情筋のそれぞれの作用について、イラストになっているものを見つけたので、参考までに。
https://www.jda.or.jp/park/function/index04.html より掲載
噛むという動作だけでも、顎の上下運動だけでなく、左右の動きなどもあります。
どの動作で痛みがでるのか?などを見極めるのは正直難しいですが、出来る限り探ろうとすることは大切です。