都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

神経痛性筋萎縮症について

本日は、神経痛性筋萎縮症(neuralgic amyotrophy;NA)について。

ParsonageTurner syndrome

Idiopathic brachial plexopathy

と呼ばれることもあります。

 

 2014 Feb;37(2):75, 130-33. doi: 10.3928/01477447-20140124-01.
Neuralgic amyotrophy (Parsonage Turner syndrome).
 
福島和広.神経痛性筋萎縮症(neuralgic amyotrophy)の臨床像と MRI 所見.臨床神経 2014;54:1053-1055.
 
頚椎症性神経根症と類似することから間違われやすい。
腕神経叢や特発性の末梢神経障害が主座と考えられている。
 
「神経痛性筋萎縮症」の画像検索結果
 
臨床症状;
一般的には片側の頸部・肩・上腕の神経痛で発症し,疼痛は数日~数週間持続する。
⇒頸肩腕症候群や頚椎症性神経根症と誤診されることがある。
 
疼痛の軽快後に同側上肢の筋萎縮と弛緩性麻痺が出現する。
筋萎縮は肩甲周囲
に強い。
また、C5,6領域に
強調されることが
典型的。
その後、筋萎縮を
来たす。
 
 
中年以降の男性に多く,ウイルス感染,労作,スポーツ,外傷,外科手術などが誘因となることが多い。
まれに小児で、感染症や予防接種後に発症することが報告されている( 2020 Mar 5. doi: 10.1007/s10072-020-04314-8.)
罹患肢の感覚障害もみとめることが多いが,程度は軽い 。
 
欧米報告の発症率;10万人あたり2-3人/年
日本での調査(日本神経学会調査):年間1人程度で、初診では整形外科を受診65%、神経内科19%という割合だった。
 
神経障害の分布は個人差があるが、
典型例は、腕神経叢上部の障害で、肩甲・上腕部の筋萎縮(棘上筋・棘下筋・前鋸筋・菱形筋・三角筋上腕二頭筋など)が多い。
また、神経分枝の肩甲上神経・腋窩神経・筋皮神経の障害もある。
腕神経叢とは別に、腰仙神経叢、横隔神経、脳神経の合併例や、前骨間神経・後骨間神経の障害(単発障害)などもあるとのこと。
 
鑑別;
頚椎症性神経根症⇒類似した経過をたどるので難しい
肩関節疾患⇒NAでは、他動的な関節可動域制限はない
多巣性運動ニューロパチー
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
血管炎性ニューロパチー
絞扼性末梢神経障害
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー
運動ニューロン疾患
平山病
複合性局所疼痛症候群
などが挙げられる。
 
治療;
発症から4週以内では、副腎皮質ステロイドが有効とする観察研究がある。
症例報告だが免疫グロブリンの大量投与が有効だったとするものもある。
予後良好とするする報告が以前はあったが、最近では、筋萎縮などが残存することが多いとされ、早期治療が望まれるも、確立した治療法がないことも事実。
 
鍼灸師にとっても、見抜くのは非常に困難な疾患の1つだと思います。
コモンな疾患ではありませんので、私は、実際に経験したことはまだありませんが、忘れずに考えたい疾患の1つです。