本日は、鍼灸とは全く関係ない話です。
ですが、個人的に好きな話です。
Hurwitz B. Parkinson's disease: What's in the name. Lancet.2017; 389 May 27:2098-9.
ジェームス・パーキンソンさんが、「An essay on the shaking palsy」を報告したのは、1817年のことでした。今から202年前のことです。
このエッセイでは、歩行障害や手の震えなどについて観察した症例が提示されています。
しかし、この報告があってすぐに「パーキンソン病」と命名されたわけではありません。この当時、この報告はそこまで日の目をみることはなかったようです(いくつかの雑誌では取り上げられていたようですが)。
本格的に注目されたのは、フランスの神経医師であったJean Martin Charcotによるところが大きいとされています。
シャルコーは、精神学・神経学に精通していて、多発性硬化症や筋委縮性側索硬化症(ALS)などの研究も行っていました。その結果、マリー医師と共同で、シャルコー・マリー・トゥース病と呼ばれ、現在でもフランスではALSをシャルコー病と呼ぶようです。
また、大学で神経学の講師もしており、教え子には、バビンスキーさんなどその後の医学に貢献された方がたくさんいたそうです。
そんなシャルコーさんが、パーキンソンさんの報告に「固縮」もあることを追加して、パーキンソン病と名付けたとされています。
そこで、裏話的なことになりますが、パーキンソンさんよりも前にパーキンソン病に注目していた人たちがいました。
1.Jhon Hunterさん:1700年代
ハンターさんは、ダーウィンの進化論の前に進化論を提唱していた人・世界初の人工授精に成功させた人、小臼歯の発見をした人、獣医ドリトルのモデルになった人など、その偉業はすさまじい医師です。
(wikiより)
ハンターさんも、「覚醒時には震顫が観察されるが、睡眠時には震顫が消失する。また震顫が続いても疲労が生じない」ことを示していたようです。
そして、このハンターさんの講演を、21歳のパーキンソンさんは聞いていたとされているようです。つまり、パーキンソンさんの元ネタはハンターさんの可能性が高いようです。
さらに遡ると、
2.レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
モナ・リザで有名です。
彼は、遺体を解剖し、それをスケッチしていました。
昔、鹿児島の図書館でみたときには、大量にスケッチがありましたが、その大半は解剖でした。
その中には、「この病人はー意思とは無関係に四肢や頭部が震えていて、あらゆる努力と意思をもってしても、手足の震えを止めることはできない」と書いていたようです(Clin Neurosci.2007;25(1):18-21)。
これだけで、パーキンソン病と断定することはできませんが、もしかしたらパーキンソンさんの報告にもつながっていたかもしれません。