パーキンソン病とコエンザイムQ10
本日は、パーキンソン病の運動症状などの進行抑制に有用かもしれないコエンザイムQ10について。
先日、当院にパーキンソン病の方がコエンザイムQ10を医師から勧められたということで、相談にきました。
昔、読んだことがある報告があったので、そこから。
Yoritaka A, et al. Randomized, double-blind, placebo-controlled pilot trial of reduced coenzyme Q10 for Parkinson's disease. Parkinsonism Relat Disord. 2015 Aug;21(8):911-6.
コエンザイムQ10がパーキンソン症状に有用か?
ここで使用したコエンザイムQ10は、還元型;ユビキノールというものを使用。
コエンザイムQ10は酸化型が多く、還元型は少ないそう。
ランダム化二重盲検試験を実施。
対象は、レボドパを使用し、wearing off現象が認められる進行期のパーキンソン病患者31例とレボドパ投与なしの早期パーキンソン病患者33例の計64例。
対象に、コエンザイムQ10かプラセボ薬を48週間服用してもらい、パーキンソン病評価であるUPDRSで有効性を評価した。
その結果、
途中で脱落したものを除いて、UPDRSスコアの変化をみると、
進行期のパーキンソン病では、
還元型コエンザイムQ10群;-4.2±8.2点(平均±SD)の改善
プラセボ薬;2.9±8.9点と
両者で有意な差が認められた。
早期パーキンソン病患者では、
還元型コエンザイムQ10;3.9±8.0点
プラセボ薬;5.1±10.3点と
2群間に有意差はなし。
重大な有害事象はなし。
この研究結果は、正直すごすぎる。
進行期のパーキンソン病患者のUPDRS総点が平均4点も下がるのは、あまりにも出来すぎているようにも思えます。
グラフデータも非常にきれいで、なんらかのバイアスを疑ってしまいますが、
いちおう、二重盲検で行われたということで、バイアスリスクは低いとされます。
レボドパの効果をコエンザイムQ10が補完するのか?
それとも、パーキンソン病の他の病態を改善するのか?
メカニズムはよく分かりませんが、どうなんでしょう。
ミトコンドリアの関連性を示唆することは書いてありますが。