咳やくしゃみ、いきんだときに腰が痛い
本日は、Dejerine徴候についてです。
名前がついていたことを知りませんでした。
飯田泰明、他.Dejerine徴候とMilgramテスト. 脊椎脊髄.2015;28(4):312-5.
先にMilgramテスト。
これは、腰痛患者さんでは、たいてい実施が難しいテストです。
写真のように、仰臥位になってもらい、両下肢を伸展したまま、床から5cm挙上してもらい、これが「疼痛なしに30秒維持できれば正常」。「疼痛出現もしくは維持できない場合は陽性」と判断。
腰椎椎間板ヘルニアなどの可能性が上がります。
同じ腰椎椎間板ヘルニアのときに、
咳やくしゃみ、排便時のいきみで腰痛や下肢痛が誘発・増強されるかを問診しますが、
これを「Dejerine徴候」と呼ぶようです。
神経根の易刺激性が示唆される徴候で、陽性ならば椎間板ヘルニア・脊髄腫瘍などの占拠性病変が疑われます。
ですが、これ単独での診断精度は、あまり良くはありません(J Neurosurg Phychiatry. 2002 May; 72(5): 630-4.)。
Dejerine徴候
感度:50(42-58)%、特異度:67(58-75)%、LR+:1.5(1.1-2.1)、LR-:0.7(0.6-0.9)
この所見が問診ででてきても、事後確率はそんなには変わりません。
機序としては、
腹腔内圧の上昇に伴い、静脈還流が阻害される。すると、脊髄内圧が上昇し、静脈圧が亢進する。それに伴い、脊柱管内の硬膜外静脈叢の静脈圧も亢進し、血管が拡張することで神経を圧迫し神経刺激症状が発現する。ということらしいのですが、分かったような分からないような。
腹腔内圧が上がると脊髄内圧も上がり、それが結果的に神経を刺激するということは、以前から知られており、咳やくしゃみ、いきみ以外に姿勢も関連するとされています。
座位の姿勢でも、椎間板の圧が上がるので、これだけでも疼痛が増悪します。
(Am Fam Physician.1999 Feb 1; 59(3): 575-82.より)
せきやくしゃみ、いきみで痛みが出るか?もしくは増悪しないか?
体動痛だけでなく、姿勢の変化はどうか?も聞くといいかもしれません。