肝硬変の診断精度
本日は、肝硬変について。
Udell JA, et al. Does this patient with liver disease have cirrhosis?JAMA.2012 Feb 22;307(8):832-842.
肝疾患を持つ成人患者に、肝硬変の有無を判断する方法は?
最終的に86編の報告(n=19533)が厳選され検討された。
このうち4725名に肝硬変が認められた(生検にて):有病率24(20-28)%
まずは、病歴;
有用なのは、糖尿病の既往ぐらい
身体所見;
テリーズネイル・女性化乳房・腹壁静脈怒張・脳症・体毛減少・腹水・顔面毛細血管拡張・精巣萎縮・手掌紅斑・クモ状血管腫・黄疸・脾腫など
これらの身体所見が陽性であれば、可能性が上がるが、陰性の場合に可能性を下げるのは顔面毛細血管拡張
クモ状血管腫;
腹壁静脈怒張;静脈の流れを確認する
手掌紅斑は、肝硬変や肝がん以外にも、乾癬やアトピー性皮膚炎でも認められることがある。また妊娠時にも母指球や小指球に紅斑を認めることがある。SLEや関節リウマチでは指まで紅斑を認めることがある。
こうした身体所見が認められれば可能性が上がるが、ないからといって単独での否定はできない。
血液検査;
血小板<11万・血小板<16万・PT/INR延長・アルブミン<3.5・ビリルビン>1.2・AST>正常上限など
血液検査の組み合わせ;Bonacini cirrhosis discriminant score(CDS)
Platelets:血小板・ALT:AST比・INRの値を点数化し、
8点未満;感度25%、特異度98%、LR+13(2.4-72)、LR-0.77(0.57-0.90)
7点未満;感度39%、特異度96%、LR+9.4(2.6-37)、LR-0.65(0.44-0.82)
とされている。
血液検査の結果は、複数の要因を考えながらみないと訳が分からんということになりやすいので、注意が必要です。
単純にASTが高いから肝臓というわけではなく、肝臓以外の筋肉や胆道疾患、溶血性疾患などもあり得ますので、CKやLDH、関節ビリルビンなども見ながら肝臓か?肝臓以外か?を考えないといけないので、慣れないと難しいと感じます。
肝疾患がある方に肝硬変がないか?を確認する際に、
鍼灸師にもできる範囲は、
肝臓の大きさや位置を打診で確認することと、毛細血管拡張(顔面・手掌・胸部・腹部)がないかを確認するのがいいかなと個人的に思っています。
仮に毛細血管拡張がすべて認められなかった場合、事前確率を有病率24%として、事後確率は4%程度となります。