急性膵炎について
本日は、急性膵炎について、どんな症状が起きるか?身体所見は?などについてまとめてみました。
参考文献は、急性膵炎診療ガイドライン2015
急性膵炎の発生頻度は、海外の報告と比べ日本の調査は慢性膵炎の急性増悪などを対象としているため、少し異なる部分があるが、49.4/10万人/年とされている。年々増加傾向にあるようだ。
男女比は1.9:1.0で男性に多い。また膵炎の成因も男女で異なる傾向にあり、
男性はアルコール性膵炎(男性46.2%、女性9.3%)、女性は胆石性膵炎(男性19.7%、女性40.3%)が多い。
よって、飲酒歴や胆石の既往歴を聴取することが大切になる。
急性膵炎の臨床症状
2009年の全国調査では、
圧倒的に突然の腹痛を訴える人が多く、あとは頻度が少ない。
腹痛を主訴に来院した患者全体で急性膵炎だった割合は2.9%と少ない。
この人たちを見逃さないように注意。
腹部圧痛は、腹部全体に及ぶことが半数あるとされているため、腹痛は上腹部でも圧痛が全体に及んでいる場合は、炎症の波及を想定して要注意となる。
腹痛の部位を調べた2013年度調査では、
心窩部痛が多かった。
身体所見として、紹介されることの多い
Grey-Turner徴候は側腹部に出現する着色斑で、臍周囲にできるのがCullen徴候がある。
これらは、出現頻度が3%程度と低いとされている。
また、これらの所見は、急性膵炎に限らないことも報告されている(Chauthan S, et al. Cullen's and Turner's sign associated with portal hypertension. Lancet.2008 Jul 5;372(9632):54.)。膵炎以外に、子宮外妊娠、肝臓の悪性疾患、十二指腸潰瘍の穿孔型、肝膿瘍、脾破裂などでも出現するとされている。
出現頻度は低いが、こうした所見が認められたら、注意である。
突然発症の腹痛で心窩部痛を訴え、圧痛は腹部全体であれば、飲酒歴や胆石の病歴を聴取し、急性膵炎の可能性を考える。