内臓疾患と関連痛
内臓の状態によって、体のどこかに痛み反応が現れることがあります。
これは関連痛;内臓-体性反射
脊髄で内臓からの感覚神経と皮膚からの神経が集まり、大脳皮質へ伝達される際に、脊髄の同じレベルの内臓神経痛を、中枢が皮膚からの痛覚刺激として認識するためとされています。
つまり、脳の錯覚ということになります。
ですので、痛みを訴える皮膚部位には問題はないということになります。
難しいのは、痛みの訴えが関連痛のみの場合は判断が狭まります。
有名な関連痛としては、
心窩部痛⇒虫垂炎
左肩痛⇒心筋梗塞
などがありますが、
これらをまとめると、
臓器 | 関連痛部位(皮膚分節) |
心臓(心筋梗塞) | 咽頭・顎・歯・肩・背中・腕の痛み |
横隔膜(横隔膜膿瘍) | 右肩の痛み |
心臓(下壁梗塞)・虫垂(虫垂炎) | 心窩部痛 |
急性脊椎硬膜外血腫 | 腹痛 |
上部尿管結石 | 下腹部痛 |
横隔膜 | 同側の肩部の皮膚 |
心臓 | T1-5:前胸部、左の腕と手 |
食道 | T5-6 |
胃 | T6-9:胸部と胸骨下領域 |
膵臓 | T6-10:上腹部痛 |
肝臓・胆嚢 | T7-9:心窩部痛、右肩甲骨下角 |
小腸 | T9-10 |
大腸(脾彎曲部まで) | T11-12 |
虫垂炎 | 心窩、臍周囲 |
憩室炎 | 陰嚢、恥骨 |
卵巣 | T10-11:臍周囲 |
子宮 | S1-2:腰部 |
前立腺 | T10-12:臍周囲と鼠径部、陰茎先端と陰嚢 |
腎臓 | T10-L1:腰部と臍部 |
直腸 | S2-4:仙骨下部と坐骨神経(大腿上部や下腿後面) |
となります。
痛みを訴える部位を触診にて、圧痛を訴えない場合は、関連痛や放散痛を疑います。
上記の表には記載していませんが、
首の痛みはくも膜下出血と関連します。
これも忘れないようにしたいです。