都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

太ももの痛みを訴える男性の症例報告

本日は、診断に関する症例報告。

 

 2020 Feb;75(2):305-308. doi: 10.1016/j.annemergmed.2019.08.422.

Man With Thigh Pain.

 
症例は38歳、男性。
既往歴は特になし。
2日前からの発熱と左太ももの痛みを訴えて病院受診。
バイタルは、体温39.1℃、脈拍112回/分、血圧111/59mmHg。
触診にて、左太ももは圧痛あり。
抗生物質を投与するも4時間後には悪化傾向。
紅斑・熱感・腫脹あり。
 
血液検査では、白血球数の増加(18.3×10 3 /μL:好中球84%)。
大腿骨のMRIにて、筋膜に沿った高信号が確認。
 
壊死性軟部組織感染症が疑ったが、結果は陰性だった。
皮下皮膚生検では、好中球優位が確認
プレドニゾロン40mg/日で10時間後には症状の緩和がみられた。
これより、診断は
壊死性スウィート症候群
とされた。
 
2012年に定義された疾患。Sweet症候群は皮膚に有痛性隆起性紅斑を呈し,発熱,白血球数増加などを伴う原因不明の皮膚疾患である。感染症様症状を呈するが抗菌薬に反応せず,副腎皮質ステロイドの全身投与が著効する。
壊死性筋膜炎との鑑別が難しいらしく、これをnecrotizing Sweet syndromeと呼ぶ。
スウィート症候群の約64%が、壊死性スウィート症候群とする報告があるそう。
この場合、壊死性筋膜炎のように壊死部を切除しても病態の改善に乏しいよう。
また抗菌薬の効果も乏しいため、副腎皮質ステロイドの全身投与が効果的とのこと。
 
稀ではあるが、初めて知った疾患で、まだよく分からない所もありますが、壊死性筋膜炎と似ている所があるとのことでした。
有痛性とのことですが、痛みの程度は大きいのでしょうか?
発熱などのバイタルの異常もさることながら、問診の基本である「突発」「増悪」「最悪」の1項目でも満たす場合は鍼灸院ではred flagとして扱うことを忘れないようにしたいです。