モナ・リザからみる身体所見
本日は、モナ・リザからみる身体所見についてです。
モナ・リザは説明の必要がないほど有名なので省略しますが、
モナ・リザにはある病気の可能性が指摘されています。
目元を拡大してみると、
左眼の内側に吹き出物のようなものが見えますでしょうか?
これは「眼瞼黄色腫」と考えられています。
この所見は、高コレステロール血症の可能性を示唆する所見とされています。
実際には、他の疾患でも出現するし、健康な人でも認められる場合がありますが。
家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2017.を読んでみますと、
家族性高コレステロール血症(FH)とは、高LDLコレステロール血症(LDL-C180mg/dl以上)、早発性冠動脈疾患、腱・皮膚黄色腫を3主徴とする常染色体遺伝性疾患とされています。
200-500人に1人の割合で発生していると考えられています。これは、
人間ドッグで胃がんや大腸がんの発見は500-1000人に1人なので、結構多い方かと思います(総合健診.2019;46(2):236-9)。
腱・皮膚黄色腫は、比較的物理的刺激を受けやすい部位に発生しやすいとされています。
眼瞼黄色腫は、FH以外でも認められるため、特異度は低く、診断的価値は高くはないが、FHを疑う所見ではあるとされています。
また眼の所見として、「角膜輪」もあります。
50歳未満のFH患者では出現率は3割程度と低いが、50歳以下で認められた場合は診断的価値は高いとされている。
老人環と似ていますので、間違えないようにしっかりと観察が必要です。
↑老人環
この他の所見として、アキレス腱の肥厚があります。
アキレス腱をX線で撮影して判断した場合の診断精度は、
感度64.1%、特異度98.6%とされています。
触診や視診でアキレス腱を判断して、分からないときは病院でX線をお願いしてもいいかもしれません。
FHは3主徴にあるように、冠動脈疾患を起こしやすいので、これらの所見があった場合は、見逃さないようにして、速やかに適切な治療を受けられるように指導することが大切だと思います。