髄膜炎の身体所見
本日は、髄膜炎の身体所見について。
以前も書いています。
「髄膜炎の診断特性」
https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/06/11/060000
髄膜炎は、発症原因となる起因菌で
細菌性髄膜炎
真菌性髄膜炎
に分けられます。
このうち、ウイルス性(無菌性)が最も多い。
結核性髄膜炎の患者さんをまだみたことはありませんが、発熱や頭痛、嘔吐などは、他の髄膜炎同様に起きうる(Exp Ther Med. 2018 Sep; 16(3): 2770–2776)。
身体所見として、項部硬直も70%台。
Characteristics | n (%) |
---|---|
Sex | |
Male | 109 (57.7) |
Female | 80 (42.3) |
Age range, years | |
≤18 | 27 (14.3) |
18–35 | 67 (35.4) |
35–65 | 84 (44.4) |
>65 | 11 (5.8) |
Onset type | |
Acute | 88 (46.6) |
Sub-acute | 67 (35.4) |
Chronic | 34 (20.0) |
Clinical stage | |
Stage I | 12 (6.3) |
Stage II | 131 (69.3) |
Stage III | 46 (24.3) |
Symptoms | |
Headache | 168 (89.2) |
Fever | 148 (78.3) |
Nausea/vomiting | 128 (67.7) |
Lack of appetite/weakness | 77 (40.7) |
Changes in personality | 71 (37.6) |
Weight loss | 52 (27.5) |
Night sweats | 47 (24.9) |
Stiff neck | 138 (73.0) |
Cranial nerve palsy | 43 (22.8) |
Blurred consciousness | 91 (48.1) |
Convulsions | 33 (17.5) |
Paraplegia/paresis | 29 (15.3) |
中島健二.髄膜炎の臨床症状とその病態生理.日本内科学会雑誌.1996;85(5):11-14.
発熱~ウイルス性が高熱になることは少ない。くも膜下出血との鑑別点は、くも膜下出血は病初期に発熱せず、発作後12時間以上経過後に発熱することが多い。また39℃以上の高熱になることはほとんどない。
頭痛~持続する頭痛が早期から出現。後頭部の限局性のこともあるが、頭部全体が痛いということが多い。しかし髄膜炎に特徴的な頭痛の性状はない。髄膜炎の軽快に合わせて頭痛も軽快するが完全に頭痛が消失するのに2週間程度かかる。
髄膜刺激症状
項部硬直(nuchal rigidity, stiff neck)~出現率が最も高い
Kernig徴候~ラセーグ徴候と間違えないように
Brudzinski徴候
こうした髄膜刺激症状の徴候は、鍼灸師にも有名ですが、
他にもJolt accentuationもあります。
Jolt accentuationは、1秒間に2-3回、首を横に振るまたは他動的に振ることで、頭痛が増悪するか?を観察するものです。
無菌性髄膜炎におけるjolt accentuation of headacheの意義.臨床神経学.2019;59(9):596-8.
救急外来にて、急性発症の頭痛、意識障害なし、髄膜刺激症状を認め、髄液検査を実施した87名が対象。
Jolt accentuationの感度68.9%、特異度3.8%であった。
過去の報告をまとめると、最初に報告されたUchiharaの報告以降、感度はそんなに高くはない。
ちなみにWaghadharaの報告では意識障害があると感度は6%とのことであった。
2週間以内の頭痛、37℃以上の発熱、意識障害や神経学的異常がないの3点を満たせば、感度は高くなることも示唆されている。
Jolt accentuationを使う際には、単体で無菌性髄膜炎を否定することはできないことに注意が必要かもしれません。