FACETは難しい
FACETと言えば、椎間関節を指しますが、
F(fracture):骨折
A(Aorta):腹部大動脈瘤・大動脈解離
C(Compression):脊髄圧迫症候群
E(Epidural abscess):硬膜外膿瘍・骨髄炎
T(Tumor):腫瘍・骨転移
といった腰痛のレッドフラグを指すこともあります。
本日は、レッドフラッグの方ではなく、椎間関節症のFACETについて最近の報告をまとめました。
Berg L,et al. Facet arthropathy evaluation: CT or MRI? Eur Radiol. 2019 Sep;29(9):4990-4998.
腰椎椎間関節症の評価はCTとMRIのどちらがよいか?
114人の慢性腰痛患者において、CTとMRIにて評価した結果、椎間関節症に関してはMRIよりもCTの方が評価者の一致率は高い。
Kim JH,et al. The prevalence of asymptomatic cervical and lumbar facet arthropathy: A computed tomograpy study. Asian Spine J. 2019 Jun;13(3):417-422.
無症候性頚椎および腰椎の椎間関節症の有病率:CTによる研究
100名の対象者で、頚部および腰椎のCTスキャンを実施。
椎間関節炎は、頚椎・腰椎ともに加齢により増加する。
60歳以降は、無症状であっても、60%以上が何らかの椎間関節症を有する。
特に、頚椎ではC6-7間が最も多く、腰椎ではL5-S1間が最も多い。
Maas ET, et al. Systematic review of patient history and physical examination to diagnose chronic low back pain originating from facet joint. Eur J Pain. 2017 Mar;21(3):403-414.
椎間関節に起因する慢性腰痛を診断するための患者の病歴および身体所見の系統的レビュー
慢性腰痛患者で椎間関節症が原因の腰痛と判断するには、どんな病歴(問診)や身体所見を行うとよいか?
最終的に12の論文が厳選された。
でも、研究の質はそこまで高くない
それを踏まえて読んでいきます。
Revel's criteriaなるものがあるそうで、
65歳以上
臥位で疼痛改善
咳・前屈・伸展・前屈位から起こす・伸展して回旋、これらが疼痛増悪しない
このCriteriaの診断精度は、
尤度比の計算はしなかったが、特異度は比較的高い。
次に、脊椎の伸展-回旋
こちらは、感度は高いが特異度は低い。
慢性腰痛患者では、こうした動作が痛がることが多いため(例えば腰部脊柱管狭窄症など)だと思われる。
しかし、痛がらなければ、椎間関節症は否定の傾向になる。
これを簡単にまとめると、あちこち体を動かしたりしても痛くないと椎間関節症は可能性が上がる(病院を勧めCTを行う)が、脊椎の伸展-回旋で痛くなければ、可能性は下がる。