都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

ドケルバン病の身体所見

本日は、たまーにみかけるドケルバン(de Quervain) 病について。

 

手関節痛をきたすいくつかの疾患の中で、狭窄性腱鞘炎に分類されます。

狭窄性腱鞘炎は、腱鞘の退行性病変や滑膜炎による腱鞘の口径が狭くなり、腱がスムーズに動けないために、痛みや腫れを引き起こすもので、ばね指(弾発指)も入ります。

 

一般的にドケルバン病は30-50歳代の女性に多いとされています。手をよく使う方で発症が多いこと。妊娠・出産を期に発症する方もいることから女性ホルモンとの関連が示唆されているようですが、そこらへんはまだよく分かっていません。

 

台湾で行われた手の腱障害の発生率を調べた報告では、

Shen PC, et al. Hand tendinopathy risk factors in Taiwan: A population-based cohort study. Medicine (Baltimore). 2019 Jan; 98(1): e13795.

 

台湾の国民健康保険データベースなるものにある41871件を分析。

ドケルバン病・手根管症候群(CTS)・ばね指の有病率とリスク因子を検討。

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その結果、手の障害3.16%の性差は男性1.07%・女性2.09%とやや女性に多く、

手根管症候群1.59%の性差は男性0.54%・女性1.05%と女性に多い。

ドケルバン病0.49%の性差は男性0.13%・女性0.36% と女性優位

ばね指1.07%の性差は男性0.39%・女性0.68%と女性優位。

特に50歳以降で増える傾向にみえます。

 

関節リウマチ・糖尿病・ホルモン拮抗薬は手の機能障害のリスク因子となる。

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狭窄性腱鞘炎では、ばね指>ドケルバン病となる。

 

ドケルバン病が疑われた際の身体所見の精度は?

 Wu F, et al. Finkelstein's test is superior to eichhoff's test in the investigation of de Quervain's disease. J Hand Microsurg. 2018 Aug;10(2):116-118.

 

 36人(72手関節)に関して、フィンケルシュタインテストアイヒホッフテストの2つの身体所見で調査。

両者の検査の間隔は最低24時間空けた。

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私の記憶では、アイヒホッフテストがフィンケルシュタインテストだったので、調べてみると、

「フィンケルシュタインテスト」の画像検索結果

https://matome.naver.jp/odai/2145654143980661201/2145654452782243303より掲載

 

と正しくは論文の方みたいです。

 

結果

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フィンケルシュタインテストの方が特異度が高く、偽陽性も少なくて、ドケルバン病の抽出には適している。

 

というものでした。

この報告では、感度が分からないので、どちらの検査が優れているのか?は決めにくいところがあります。

とりあえず、両方ともできるように練習しておくといいのでしょう。