足裏の神経絞扼障害
本日は、足根管症候群についてです。
足底の痛みは、糖尿病の末梢神経障害などもありますが、足根管症候群による内側・外側の足底神経の絞扼性障害もあります。
解剖:
Moroni S, et al. Clinical-anatomic mapping of the tarsal tunnel with regard to Baxter's neuropathy in recalcitrant heel pain syndrome: Part 1. Surg Radiol Anat. 2019 Jan;41(1): 29-41.
足底と関わる神経
脛骨神経(TN)⇒内側足底神経(MPN)+外側足底神経(LPN)
外側足底神経⇒第1枝 バクスター神経(BN)
バクスター神経は、踵の痛みと関連する。
内側・外側の足底神経の位置
内側のくるぶしの頂点をA1点
踵骨の部分をB点
を結んだラインと
内側くるぶしの先端A2点とB点、舟状骨の結節部をC点とした三角
A1-Bラインか三角内に足底の神経が入る
本文中には、距離とかも測定してあったが、いまいち訳せず良く分からなかったです。
内側と外側の足底神経の支配領域は、下図Bの足底の図で、
1a:内側足底神経の支配
1b:外側足底神経の支配
1c:脛骨神経内側踵骨枝(バクスター神経)
3c:伏在神経内側下腿皮枝(下図)
4:腓腹神経
足根管症候群の疫学や症状
野地雅人.しびれ患者2000人の分析と脳神経外科のこれからの役割:しびれ外来のすすめ. Spinal Surgery. 2016;30(2):202-5.
鍼灸院とは少し異なる患者層もあるかもしれませんが、2104名の痺れ患者の診断名の内訳をみると、足根管症候群は4.3%だったとしてます。6番目に多かったようです。
足底のしびれは、脊髄由来・馬尾由来・末梢神経由来が考えられる。
その原因として、頚椎や腰椎の手術後、糖尿病アルコール性などがある。
症状としては、足趾や足底の痛みやしびれが主体で内側足底の知覚障害の方が多い。
しびれの境界は不明瞭だが、踵はしびれない(注)。
足根管よりも近位で、踵骨神経が分岐するため。
症状悪化により、足根管よりも近位に症状がでることもある。
注:少し古い文献だが、踵の症状があった足根管症候群の報告はある。
佐藤哲則、他.足根管症候群の10例.整形外科と災害外科.1991;39(3):1369-1373.
10例中2例に踵の知覚障害があったとされる。
その圧痛部位も内側踵骨枝出口にあったとされる。
踵の症状は足根管症候群ではないとする文献もあるが、まれにあると思っていた方が良さそうです。
おそらく、解剖による神経の走行や足根管を構成するもので症状が少し変わってくるのかもしれません。
ちなみに、
踵の痛みは、11~15%の範囲(Surg Radiol Anat. 2019 Jan;41(1): 29-41.)とされています。
足底の痛みやしびれと鑑別が必要なのに足底腱膜炎がありますが、これとの鑑別は大きく3つ。
チネル徴候があれば、足根管症候群の可能性が上がる。
荷重の有無に関わらず持続的な痛みがあれば、足根管症候群の可能性が上がる。
圧痛部位が、足根管にあれば、可能性が上がる。
こんな感じでしょうか。
足底神経は、これからの時期は、足の冷えや排尿障害、バランス障害などの治療部位としても有用ですので、しっかりと解剖を押さえておけば、便利かと思います。