緊急搬送される人はどれか?
先日、SNSでこんな写真をみつけました。
3人のバイタルサインから、一番緊急搬送の可能性が高いのはどれか?
といったもののようです。
緊急搬送とはいかなくても、患者さんが「今日は熱がある」などと言われ、病院受診を促すべきか、様子をみても大丈夫なのか?
を確認する必要があります。
Mourad O, et al. A comprehensive evidence-based approach to fever of unknouwn origin. Arch Intern Med.2003 Mar 10;163(5):545-51.より
不明熱の原因を調査した結果、
これまでにいくつか、バイタルサインを指標としたスコア表が発表されている。
その中で、主なものとしてearly warning score(EWS)というものがある。
これは早期警戒スコアとも呼ばれ、心停止やショック状態になる前にはバイタルサインに何らかの変化が現れる。その前に発見しようという試みで開発されたものだ(Crit Care Med.1994 Feb;22(2):244-7.)。
このEWSも、いくつか種類があり、
National early warning score(NEWS)
Standardized early warning score(SEWS)
といったものがある。
NEWSでは、1-4点以下は低リスク、5-6点は中リスク、7点以上は高リスクとなる。また、低リスクであったとしても、1項目でも3点があれば、医師へのコンサルトが必要とされている。
SEWSでは、4点以上ある場合の心停止の確率は、感度55%、特異度85%、LR+3.7、LR-0.53とされ、入院の目安とされている。
では、最初の写真のAさん・Bさん・Cさんで、NEWSとSEWS(SpO2は仮に0点として)をみてみると、
Aさん;75歳、男性。体温36.7℃、血圧180/120、脈拍88、呼吸数20
NEWS:0点、SEWS:0点
Bさん;23歳、男性。体温36.2℃、血圧88/60、脈拍120、呼吸数28
NEWS:8点、SEWS:4点
Cさん;25歳、女性。体温35.8℃、血圧86/50、脈拍70、呼吸数16
NEWS:4点、SEWS:2点
となり、Bさんのリスクが最も高いことが示唆されます。
次いでCさん>Aさんの順となりそうです。
この他にも、
といった指標があり、肺炎の予測にも使われるCURB-65やA-DROPなどがある。
qSOFAは感染症の指標になる簡便化された方法だ。
これは、敗血症の指標ともされているが、在宅患者を病院へ勧める指標としても使用できる。
Quick sepsis-related organ failure assessment, Systemic inflammatory response syndrome, and early warning scores for detecting clinical deterioration in infected patients outside the intensive care unit.Am J Respir Crit Care Med.2017 Apr 1;195(7):906-911.より
2008年11月~2016年1月までに救急外来(ED) あるいは入院病棟で感染症疑いとなった患者を対象(N=30677)。
qSOFAとSIRS、MEWS、NEWSの4つの指標が死亡やICU管理となるかを予測できるかを比較した。
結果、死亡は5.4%、死亡あるいはICU管理の複合アウトカムは24.1%であった。