良性発作性頭位めまい症に関する最近の報告
本日は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)についてです。
以前も取り上げていますので、参考にしてください。
・良性発作性頭位めまい症の総説
https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/05/27/163120
・中枢性めまいの2症例
https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/07/13/071419
・めまいの眼振について
https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/10/08/075516
まずは、症状などについて。
Carrillo Munoz R, et al. Disability perceived by primary care patients with posterior canal benign paroxysmal positional certigo. BMC Fam Pract. 2019 Nov 13; 20(1): 156.
後半規管におけるBPPVのプライマリケアでの患者が感じる障害
BPPVは、めまいの一般的な原因である。
三半規管の後半規管型が最も多い。しかし、患者の主観的もしくは客観的な症状などについては、あまり報告がない。
そこで、プライマリケア現場において後半規管型BPPVと診断された患者の感じる症状などを検討した。
Dix-Hallpike法にて後半規管型BPPVと診断された18歳以上134名。
65歳未満(中央値52歳、39~68.5歳)の女性に多い。
眼振を伴うのは40.3%。
認知機能は、めまいハンディキャップインベントリ-スクリーニングバージョン(DHI-S)を使用。
DHI-Sの中央値16(8~22)
抑うつ感と寝返り時の悪化が最大の障害とするのが多かった。
この他の報告では、首の痛みとの関連を示すものもありました。
Knapstad MK, et al. Neck pain associated with clinical symptoms in dizzy patients-A cross-sectional study. Physiother Res Int. 2019 Dec 8; e1815.
めまい患者の臨床症状に関連した頸の痛み~横断研究
めまいと同時に頸の痛みを訴えるものが多いが、そこに関連はあるのか?
めまいのみの患者(n=100):DO
めまいが主訴で、首の痛みが随伴症状(n=138):DN
頸の痛みが主訴で、めまいが随伴症状(n=55):ND
患者には、症状についてのアンケートに記入。
頚部可動域、アメリカリウマチ学会の圧痛点(ACR)、頚部圧痛閾値および全身の柔軟性をテストした。
その結果、
頸の痛みを伴うグループは、めまいだけのグループに比べて、発症が緩やかだが、ふらつき、視覚障害、自律神経/不安症状、頚部可動域の減少、首や肩の柔軟性低下、ACRの圧痛点の増加が多い。
DNグループは、症状の重症度が最も高かった。
NDグループでは、頭痛を訴える頻度が高い。
頸の痛みがない場合の発症は急性発症のことが多く、首の痛みを伴うとめまい関連の症状が強くなることが示唆され、めまいと頸の痛みのどちらがメインになるかで、臨床症状も少し変わってくる。
こうした関連はBPPVでも認められる可能性はある。
治療としては、エプリー法が有名。しかしどの三半規管のタイプ化で方法が変わるので、練習が必要(Curr Treat Options Neural. 2019 Dec 5;21(12):66.)。
また、先ほどの報告のように首の可動域制限などがある場合、エプリー法の実施は少し難しい。
そうした場合の対応も考えておくと慌てずに済むと思います。
さらに、BPPVは再発率も少し高いので、併せてその対策もしておく必要があります。
再発の危険因子としてビタミンDの低下が報告されているようです。
その他にも、
Zhu CT, et al. Clinical characteristics and risk factors for the recurrence of benign paraxysmal positional vertigo. Front Neurol. 2019 Nov 13;10:1190.
BPPVの再発の臨床的特徴と危険因子
年齢が異なるグループで再発の危険因子が変わるか?を検討。
18-93歳の1012人が対象。
1年後の再発率は、
18-45歳:22.79%
45-60歳:23.92%
60歳以上:28.89%
と微増傾向だが、統計学的な有意差はなし。
男性よりも女性に再発リスクが高い。
高血圧
高脂血症?
は再発の危険因子
最近いくつかの報告で、BPPVとメニエール病が併存しているような論文がいくつかでています。
まだちゃんとは読めてはいないので分かりませんが、両者が混在するタイプとかでもあるのでしょうか?
めまいの分野もそうなるとめまいを起こしたくなる難しさになりそうです。