脳卒中後の早期リハビリって意味あるの?
数年前に第1報(AVERT Study)が出され、早期リハビリテーションの是非に関して議論が起こりました。
日本の脳卒中ガイドラインにおいて、早期リハは推奨されていますが、このAVERT Studyでは、早期リハを行ってもADLに効果はないとされました。むしろ、死亡率が上昇するとする最悪の結果でした。
今回の報告は、QOLに関する報告です。
Cumming TB, et al. Early mobilization and quality of life after stroke: Findings from AVERT. Neurology. 2019 Aug 13; 93(7): e717-e728.
目的
方法
2006年~2015年の間に、56施設(複数の国、2104人)で行われたRCTで、QOL評価にはAQoL-4Dを用いて、通常ケア群と早期リハ群(24時間以内にベッド離床を開始)で比較検討
AQoL-4Dは、-0.04~1.00の範囲で数値化され、経過中死亡した場合は0点、完全な健康を取り戻したら1.00点となる。
結果
12か月後のQOLは、
早期リハ群の中央値0.47(0.07-0.81)、
通常ケア群の中央値0.49(0.08-0.81)
と有意差はなし(P=0.86)。
結論
早期リハは、QOLに影響を与えない。
上のグラフの0点の項目では、以前のAVERT Studyと同様に通常ケア群に比べ早期リハ群では死亡数が多い傾向にあります。有意差はないようですが、対象者が増えたら有意差が出るかもしれません。
現状、リハビリ現場ではある程度早期リハを行う体制が整っているため、おそらくこうした報告が出ても、早期リハが行われるだろうと思います。
ならば、リスクを最小限に抑えるためにも、リハ時間の短縮・頻回リハに変更するなどして対応するのが妥協点かな?と思います。