赤ら顔になる疾患
本日は、顔が赤いことについてです。
山崎研志.赤ら顔と自然免疫.日本香粧品学会誌.2016;40(1):20-23.
赤ら顔には、正常な生理反応状態~病的なものまで含まれます。
生理的な赤ら顔(正常な赤ら顔)
日焼け
経年変化と長期日光暴露による顔面の毛細血管拡張
緊張して顔が赤くなる
などがあります。
顔面に紅斑をきたしやすい疾患
アトピー性皮膚炎~慢性炎症で持続しやすい。IgE上昇、気管支喘息や鼻炎などを合併しやすい。
光線過敏症~一定以上の日光で日焼けが起きますが、低用量でも炎症が起こる病態を指す。顔面や上肢、後頚部などの部位で紅斑や皮疹を認めたら、本症を疑う。
また、光線だけでなく、薬剤(湿布など)、食品・添加物で誘発されるものがある。
https://atopy.com/%E5%85%89%E7%B7%9A%E9%81%8E%E6%95%8F%E7%97%87より
接触性皮膚炎~化粧品・シャンプーやリンス・洗顔剤・毛染めなどの誘因を探すが、特定できないことも多い。また酒さとの鑑別が難しいこともある。
脂漏性皮膚炎~髪の生え際、眉間部、眉毛周囲、鼻部、鼻唇溝部、耳介に好発。鱗屑(フケのような角化物の付着)と紅斑が中心。皮膚常在菌真菌マラセチアが関与するものもある。
酒さ~毛細血管拡張を伴う赤ら顔・リンゴほっぺの症状に毛包脂腺を中心とした炎症・肉芽腫性の変化を伴う疾患。寒暖差や乾燥、紫外線暴露などの外気環境の変化で強いほてり感や一過性紅潮を自覚することが多い。本症は、基本的に他の疾患を除外しなければ判断が難しい。
口囲皮膚炎・酒さ様皮膚炎~ステロイド外用剤やアトピー性皮膚炎治療薬のカルシニューリン阻害剤外用剤で起こす。薬剤使用歴が重要。
痤瘡~顔面に毛孔一致性の面皰(コメド;初期のニキビで非炎症性)が存在する。そこに炎症が加わると毛孔一致性の丘疹・膿疱や紅斑を呈する。尋常性痤瘡(ニキビ)は思春期から出現し、顔面・前胸部・上背部が好発部位。酒さでも類似の丘疹や膿疱がでるが、面皰はでない。でも酒さが素因の場合があるため一過性のほてり感などがでる人もいる。
毛包虫性痤瘡~顔面に痤瘡や酒さに似た毛孔一致性の丘疹と紅斑症状。毛包分泌物から毛包虫の有無を顕微鏡で確認する必要がある。
毛包虫(いわゆる顔ダニ)
顔面播種状粒性狼瘡~眼瞼周囲に好発する均一な丘疹。酒さの亜型とする意見もある。
好酸球性膿疱性毛包炎~遠心性拡大する環状紅斑を形成し顔面に好発。
皮膚血管腫(毛細血管奇形・乳児血管腫など)~皮膚・皮下の血管奇形・腫瘍性変化に伴う血流増加で皮膚が赤くなる。生後しばらくしてから出現。
乳児血管腫↓
全身性疾患に伴う赤ら顔
膠原病;全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などで蝶形紅斑
細菌感染症;丹毒
ウイルス性発疹症;麻疹、風疹、伝染性紅斑など。咽頭炎や発熱を伴う。
ホルモン異常;甲状腺ホルモン(甲状腺機能亢進症)、カテコラミン異常分泌(褐色細胞腫)などで血圧上昇・血流増加で顔面紅潮。
全身の生理的変化に伴う赤ら顔
ホットフラッシュ;更年期の症状。自律神経失調(発汗や動悸など)に伴い顔面紅潮。
精神性顔面紅潮・赤面症;精神的緊張などの自律神経の興奮に伴い末梢血管の拡張が起き赤面と発汗が起こる。
食事による顔面発赤・味覚性発汗;辛い物を食べたり酸味のあるオレンジなどで、顔面発赤・唾液分泌・涙液分泌、鼻粘膜分泌を伴う。
本文では、免疫機能との関連などもありましたが、長くなったので割愛します。
赤ら顔だけでも、考える疾患はたくさんですね。
明日は、この赤ら顔の症例問題です。