冷え性には、血圧変動とABIをしましょう
冷え性は、女性だけでなく、男性の3割程度にもみられます。
ためしてがってんより
その大半は何らかの重大な疾患が潜んでいる可能性は低いでしょう。
ですが、なかには脳卒中や末梢動脈疾患などのリスクの高い方がいらっしゃいます。
それを出来るだけ見逃さないようにしたいものです。
冷え性の機序として、血管の柔軟性の低下が1つあり、それを調べるのに、脈波伝播速度(PWV)というものがあります。
数値が高いほど、血管の柔軟性が低いというものになり、将来的な脳卒中や心疾患の可能性があります。
私の行った研究結果では鍼灸は、このPWVの数値を低下させ、血管を柔軟にすることが示唆されています。
全日本鍼灸学会雑誌.2010;60(1):54-63.
しかし、PWVは特殊な機器が必要なため、鍼灸院で行うには難しいかと思います。
そんなときには、
血圧変動チェックで代用です。
2回の血圧の差が15以上だと、ハイリスクとしてみなします。
そしてもう一つがABI(ABPI)がいいと思います。
足首の血圧と上腕の血圧の比を求め、0.9~1.3の範囲であれば正常で、血管の狭窄を表すとされています。
これにより、うでの冷え性や足の冷え性に対する血管のリスクがある程度は分かると思います。
しかし、それでも限界があるとされています。
AbuRahma AF, et al. Critical analysis and limitations of resting ankle-brachial index in the diagnosis of symptomatic peripheral arterial disease patients and the role of diabetes mellitus and chronic kidney disease. J Vasc Surg.2019 Aug 27.
糖尿病や慢性腎疾患の患者を対象にABIの診断精度を検討した結果、
対象者の46%が糖尿病、16%が慢性腎疾患、39%が冠動脈疾患であった。
これらの患者のABIは、
正常:53%
異常:34%
判定不可:13%
であった。
50%以上の狭窄を検出する精度は、
感度:57(53.7-61.2)%
特異度:74(71.9-76.6)%
糖尿病患者の血管狭窄50%以上を検出する精度
感度:51(46.1-56.3)%
特異度:66(62.3-69.8)%
非糖尿病患者では、
感度:66(59.9-70.9)%
特異度:81(78.2-83.9)%
慢性腎疾患患者では、
感度:43(34.3-52.7)%
特異度:67(60.2-73.0)%
と診断精度は高くはない。
ABIは行いつつも、それだけで判断することは避けたほうが無難だと思います。