鍼をしたら、体の中ではこんなことがおきているらしい
本日は、鍼の作用機序に関するレビューです。
Du W. The mechanism of MAPK signal transduction pathway involved with electroacupuncture treatment for different diseases. Evid Based Complement Aiternat Med. 2019 Jun 31;2019: 8138017.
さまざまな疾患に鍼通電療法が関与するMAPKシグナル伝達経路のメカニズム
鍼や鍼通電療法は、抗炎症効果・鎮痛効果・胃腸機能の調節・心血管および脳血管疾患の予防と治療・皮膚などに効果的であり、そこにはMAPKシグナル伝達が関与する。
MAPK(Mitogen-activated Protein Kinase; MAP キナーゼ; 分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ)
外部刺激が加わると細胞核に作用して、細胞の色々な働きを活性化させる。その経路はたくさんあり、まだよくわかってない部分が多い。
日本食品科学工業会誌.2008;55(5):258.より
MAPKシグナルには、今のところ3種類が同定されている。これらをMAPKファミリーと呼ぶ
(1)EPK(細胞外シグナル制御キナーゼ)
(2)JNK(c-Jun N端末キナーゼ)
(3)p38
これらが作用することで、鍼の効果が出現することがある程度分かってきた。
しかし、いまだ臨床研究ではその報告は少ないため、基礎研究によるものがほとんど。
鍼通電療法の周波数・刺激時間・刺激強度などでもその経路は変化するようだ。
MAPKシグナル伝達経路を調べることで、最適な刺激条件が導きだされる可能性はある。
そのメカニズムもいくつか紹介されてはいるが、現時点ではまだまだ不明な点が多いので、ここでは省略。
数年前にはTRPファミリーがホットトピックでしたが、これからは、そこにMAPKファミリーが加わってくるのでしょう。
鍼の効果について、解明が進むのはいいのですが、ついていけるかな(笑)