都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

鍼をしたら、体の中ではこんなことがおきているらしい

本日は、鍼の作用機序に関するレビューです。

 

Du W. The mechanism of MAPK signal transduction pathway involved with electroacupuncture treatment for different diseases. Evid Based Complement Aiternat Med. 2019 Jun 31;2019: 8138017.

さまざまな疾患に鍼通電療法が関与するMAPKシグナル伝達経路のメカニズム

 

鍼や鍼通電療法は、抗炎症効果・鎮痛効果・胃腸機能の調節・心血管および脳血管疾患の予防と治療・皮膚などに効果的であり、そこにはMAPKシグナル伝達が関与する。

 

MAPK(Mitogen-activated Protein Kinase; MAP キナーゼ; 分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ)

外部刺激が加わると細胞核に作用して、細胞の色々な働きを活性化させる。その経路はたくさんあり、まだよくわかってない部分が多い。

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日本食品科学工業会誌.2008;55(5):258.より

 

MAPKシグナルには、今のところ3種類が同定されている。これらをMAPKファミリーと呼ぶ

(1)EPK(細胞外シグナル制御キナーゼ)

(2)JNK(c-Jun N端末キナーゼ)

(3)p38

これらが作用することで、鍼の効果が出現することがある程度分かってきた。

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しかし、いまだ臨床研究ではその報告は少ないため、基礎研究によるものがほとんど。

鍼通電療法の周波数・刺激時間・刺激強度などでもその経路は変化するようだ。

MAPKシグナル伝達経路を調べることで、最適な刺激条件が導きだされる可能性はある。

そのメカニズムもいくつか紹介されてはいるが、現時点ではまだまだ不明な点が多いので、ここでは省略。

 

数年前にはTRPファミリーがホットトピックでしたが、これからは、そこにMAPKファミリーが加わってくるのでしょう。

鍼の効果について、解明が進むのはいいのですが、ついていけるかな(笑)